理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 410
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神経系理学療法
光イメージングを用いた脳性麻痺児の歩行時の脳機能測定
*島 恵稲葉 朗子高橋 幸治鈴木 三央小野 剛有田 美恵荒井 洋植田 仁畠中 めぐみ宮井 一郎久保田 競
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抄録
【目的】我々は以前、近赤外線分光法を用いた脳機能計測画像(光イメージング)を用いて、健常成人の歩行時に内側一次感覚運動領域および補足運動野が賦活されること、脳梗塞後の歩行再獲得に運動前野が関与することを報告した。光イメージングは、体動の影響が少なく、装置が小型軽量で時間分解能に優れるため、運動を行いながらの測定が可能である。さらに、無侵襲で計測時における被験者の拘束が少ないことから、今回、小児への応用を試み、脳性麻痺児の歩行時における大脳皮質活動の変化を、健常人と比較、考察したので報告する。
【対象】歩行機能向上を目的として、集中訓練もしくは下肢手術のために当院入院中の脳質周囲白質軟化症による痙直型両麻痺児4例(9歳~11歳、男児3例、女児1例)。日常歩行機能は、独歩1例、片側クラッチ歩行1例、両側クラッチ歩行2例(両側もしくは片側の短下肢装具装着下)であった。本研究は当院の倫理委員会の承認を経て、文書を用いて保護者に説明し、同意を得た上で行った。
【方法】光イメージング装置はマルチチャンネル酸素モニタOMM2001(島津製作所)を使用し、歩行時の酸素化ヘモグロビン(oxyHb)と脱酸素化ヘモグロビン(deoxyHb)の変化を前頭頭頂部を中心に36チャンネルで同時記録した。課題は支持棒を把持してのトレッドミル歩行(0.2km/hr~1.0km/hr)を前後に20秒間の安静をはさんで20秒間行い、安静時に対する歩行時のoxyHbの変化を3回の課題で加算平均した。また介助のない状態とセラピストによる骨盤から下肢の振り出しを操作した状態とで変化の差異を検討した。歩容と歩行ケイデンスをビデオ撮影によって記録した。
【結果】歩行能力が高く、ケイデンスが安定していた独歩例と片側クラッチ歩行例では歩行時に内側感覚運動領域で健常人と同様にoxyHb増加がみられ、小児においても皮質活動が検出可能であることが示された。同2例ではセラピストの操作によって賦活パターンは変化せず、ケイデンスも不変であった。両側クラッチ歩行2例では内側感覚運動領域におけるoxyHbの増加が顕著であったが、セラピストの操作によるケイデンスの変化に伴って内側感覚運動領域のoxyHb変化は減少し、前2例に近い波形となった。
【考察】前者2例では、歩行能力も高くケイデンスも安定しており、下肢の振り出しは自律的に行えていることが予測される。そのため、下肢の運動領域とされる内側感覚運動領域の賦活が比較的小さい、健常人と同様の波形を示した可能性がある。後者2例では下肢の振り出しが随意的に行われており、内側感覚運動領域の賦活が顕著であった。しかし、セラピストが振り出しの介助を行うことで、下肢の振り出しが自律的となり、内側感覚運動領域の賦活が減少し、健常人に近い波形となったことが示唆された。
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© 2004 日本理学療法士協会
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