理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 426
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神経系理学療法
重症心身障害児に対する姿勢と摂食
*増田 美子古田 伸治沖野 マス子
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抄録
【はじめに】近年在宅の重症児が増加する中で、呼吸障害や摂食機能の障害に伴い経管栄養・胃瘻により栄養補給をする児の低年齢化も進んでいる。このような状況を背景として、当園では医療機関と連携を取りながら摂食機能障害を段階的に分け、その児に応じた姿勢管理や摂食指導に取り組んでいる。今回、平成13年度から2年間の継続結果を報告する。
【対象と方法】平成13年から15年までに当園に通園している重症心身障害児23例に対し、ビデオX線透視(VF)検査、呼吸変化(Sp02値測定)、ムセの有無、嚥下の有無、口腔内残留の確認、食事姿勢、咀嚼の様子を評価し、主治医より経口摂取適応可否の指示を受け、摂食機能発達段階を8段階に分類した。摂食機能発達段階の内訳:1.経口摂取準備不全7例、2.嚥下機能不全3例、3.捕食機能不全4例、4.押しつぶし機能不全5例、5.すりつぶし機能不全2例、6.自食準備不全1例、7.手づかみ食べ機能不全1例、8.食具(食器)食べ機能不全0例。栄養摂取の内訳:経管栄養10例、経口摂取10例、(形態:ペースト食4例、キザミ食7例)、経管・胃瘻との併用3例。年齢1~14歳。
【結果】VF検査は23例中16例が実施し、Silent aspiration(無症候性誤嚥)が10例認められた。以上の検査所見をもとに、主治医と連携を取り指導方針を決定し訓練を行った。指導内容として呼吸障害や嚥下障害を合併している経口摂取準備不全に対しては呼吸理学療法、体位ドレナージによる排痰や注入姿勢を工夫し、実際に経口摂取をする児に対しては、姿勢筋緊張をコントロールする訓練や摂食姿勢のセッティングを行った。また1回の食事時間は子供の体力、座位能力を検討し30分を目安に設定した。栄養・水分が不足する場合は回数を増やしたり高カロリー食で補足したりし、1日のカロリー摂取量を確保した。その結果8段階分類で改善:9例(40%)、維持:7例(30%)、悪化:7例(30%)。なお悪化した例は訓練途中でVF検査を施行しSilent aspirationが認められ、経管栄養や併用に移行した例である。
【症例】具体的アプローチは症例を通して説明する。
【考察】摂食指導における理学療法の目的として1.姿勢筋緊張を整え頭部の安定をはかり、一定時間持続した座位姿勢を可能にする。2.刺激(特に触覚)に対する許容量を増やし、過敏性を軽減させ適応能力を高める。3.呼吸理学療法により胸郭可動域の拡大、換気量の増大、呼吸パターンの調整を促し、鼻呼吸を獲得させる。が挙げられる。摂食機能発達障害の段階に応じた訓練・指導は、介護者(主に母親)が問題点や現状を把握しやすい利点がある。脳性麻痺児の摂食・嚥下障害は、早期から適切な摂食姿勢をとらせ、段階に合わせた食事形態や食べさせ方(介助)を指導することで機能的回復が認められる。
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© 2004 日本理学療法士協会
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