理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 427
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神経系理学療法
二分脊椎の歩行予後に関する因子の検討
*近藤 直樹松尾 圭介阿部 光司
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抄録
【目的】
 二分脊椎の歩行を予測する上で、Hofferの歩行能力分類やSharrardの麻痺レベル別歩行能力分類が用いられる。しかし、麻痺レベルだけでは歩行予後が説明できないこともある。そこで本研究では麻痺レベル以外に歩行予後に影響を与える因子を検討した。
【対象】
 当センターでこれまでフォローしてきた二分脊椎59例(男性30例、女性29例、平均年齢15.40±9.06歳、L5・S以下/ 38例、L3・4/ 19例、L2/ 2例)である。その選択基準は、1)9歳以上の者、2)9歳未満であっても杖歩行以上に達した者とした。
【方法】
 運動残存髄節レベルと最高到達移動手段をHofferの歩行能力分類とSharrardの麻痺レベル別歩行能力分類(以下歩行能力分類)にあてはめ、その目標に到達したか否かを調べた。運動残存髄節レベルについて、左右差を有するものは高位側を髄節レベルとした。因子としてMMTにおける下肢筋力(a.股関節伸展、b.股関節外転、c.膝関節伸展)、ROM (a.股関節伸展、b.膝関節伸展)、シャントの有無、キアリー奇形の有無をカルテより抽出した。統計解析はロジスティック回帰分析を用いた。
【結果】
 歩行能力分類別にみると、community ambulator (CA) L5・S以下 / 37例、L3・4 / 10例、L2 / 0例、house hold ambulatory(HA) L5・S以下 / 0例、L3・4 / 5例、L2 / 2例、non-functional ambulatorもしくはnon ambulator(NA ) L5・S以下 / 1例、L3・4 / 4例、L2 / 0例であった。目標に到達していない者はL3・4で9例、他の髄節レベルではほぼ目標に到達していた。ロジスティック回帰分析では股関節筋力(P<0.01)および股関節伸展ROM (P<0.05)が歩行能力を予測する上で強い関連があった。
【考察】
 L3・4ではCA、HA、NAと歩行到達が様々であった。従来の報告にあるように、L3・4レベルの歩行については他に因子があると考えられ予測が困難である。本研究の結果からは、股関節伸展筋力と股関節伸展ROMがCA への到達に関与すると示唆されており、特にL3・4においてはこの2つの因子が重要と考えられる。二分脊椎は横断性の完全麻痺と異なり髄膜瘤による不全麻痺のため、髄膜瘤の位置が必ずしも残存レベルとは一致せず、その解離性が重要視される。よって歩行の予測をする際にはMMTや動作分析の中で下肢筋力評価を十分に行っていくことが必要である。
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© 2004 日本理学療法士協会
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