理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 447
会議情報

神経系理学療法
脳卒中片麻痺患者の端坐位2m側方移動時間と歩行自立度の関連
*土田 典子荒畑 和美太田 隆矢野 律子関根 正幸庭野 ますみ棚木 裕子清水 俊一郎小山内 隆成田 寿次
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抄録
【目的】
 我々は、脳卒中片麻痺患者の新たな評価法として端座位2m側方移動時間(以下2LMT)を考案し、10m歩行時間と有意な相関があることを第38回本学会にて報告した。そこで今回は、ADLの観点から歩行自立度別に2LMTを比較し、その関連性について検討した。
【対象】
 当センターに入院もしくはI 施設に入所し理学療法を施行した脳卒中片麻痺患者のうち、半側無視、痴呆、失調症等の合併症がなく、調査に同意と協力の得られた81名(平均年齢72±9歳、男性48名 女性33名)を対象とした。
【方法】
 2LMT測定方法は、以下の通りとした。対象を高さ40cmのプラットホーム上で端座位をとらせ、両下肢と非麻痺側上肢のみ使用して2mの距離を「できるだけ速く」の指示で側方移動させた。これに要した時間を2LMTとし、麻痺側方向と非麻痺側方向の両方向を調査した。
 対象を、歩行の自立度により自立群、監視群、介助群の3群に分類し、2LMT非麻痺側、2LMT麻痺側との関連について検討した。歩行自立の分類には歩行補助具と補装具の有無は問わないこととした。また、2LMTの左右差について調査するため、2LMT非麻痺側と麻痺側の比(以下左右比)との関連についての検討を加えた。統計学的処理は分散分析を行った後多重比較検定を用い、有意水準は5%未満とした。
【結果】
 歩行自立度の内訳は、自立群26名、監視群37名、介助群18名であった。2LMT非麻痺側は、自立群6.1±2.4秒、監視群10.5±5.0秒、介助群13.4±9.0と、自立度が高くなるほど2LMTが速くなり(p<0.01)、自立群と介助群(p<0.01)、自立群と監視群(p<0.05)で有意差が認められた。2LMT麻痺側も同様に、自立群8.1±2.9秒、監視群15.8±10.6秒、介助群29.0±21.7秒と、自立度が高くなるほど2LMTが速く、監視群と介助群(p<0.01)、自立群と介助群(p<0.01)で有意差が認められた。また、左右比を検討すると、自立群1.4±0.3、監視群1.5±0.4、介助群2.3±1.6と、自立度が高くなる程左右比が小さく (p<0.01)、自立群と介助群(p<0.05)、監視群と介助群(p<0.05)で有意差が認められた。
【考察】
 脳卒中片麻痺患者は、歩行自立度が高くなるほど2LMTが速くなり、左右比は1.0に近付くことが確認された。2LMTと歩行自立度は関連性があることがわかり、立位や歩行が不安定な時期から移動能力を裏付ける定量的評価法の1つとして利用できると考えられた。
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© 2004 日本理学療法士協会
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