理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 457
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神経系理学療法
回復期リハビリテーション病棟における中枢神経疾患を有する骨折患者の調査
移動手段と復帰先の検討
*門田 千穂国澤 雅裕松村 文雄小笠原 正
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抄録
【はじめに】一般に中枢神経疾患患者や高齢者では,骨折などをきっかけに移動手段の低下が見られる場合もあり,自宅復帰が困難となる症例も存在する.そこで今回,当院における中枢神経疾患を有する骨折患者を対象に,骨折前と退院時における屋内移動手段の変化・復帰先について調査を行ったので報告する.
【対象および方法】対象は2002年3月から2003年11月の間に当院を退院し,既往に中枢神経疾患を有する骨折患者のうち,調査可能であった27例,平均年齢78.1歳とした.診断名,既往歴,合併症,痴呆,移動能力,復帰先等をカルテより調査し,骨折前と退院時の移動手段について,維持されていた症例を維持群,低下していた症例を低下群に分け,比較検討を行った.
【結果】年齢に関しては維持群18例67%,平均年齢76.3歳,低下群9例33%,平均年齢81.6歳であり,両群間に有意差が認められた(P<0.01).
疾患別内訳・既往歴・Brunnstrom stage(以下,BRS)・下肢非荷重期間・痴呆度の比較では両群間に有意な差は認められなかった.
 合併症の比較では,維持群では安静度に影響を及ぼす合併症は認められないか,短期間で緩解していたが,低下群では脳梗塞再発や誤嚥性肺炎,鬱,再骨折などが認められ,訓練頻度にも影響を及ぼしていた.訓練頻度(理学療法実施単位数を予定単位数で除し百分率で表した数)の比較では,維持群は100%15例,90%以上2例で,低下群では100%2例,90% 以上5例,80%以上2例となり,両群間で有意差が認められた(P<0.01).
復帰先に関しては,維持群は自宅15例83%,転院2例11%,施設への入所1例6%であり,自宅復帰に際し家庭訪問を実施したのは3例20%で、全例新たに自宅改修を行っていた.低下群では自宅7例78%,転院1例11%,施設への入所が1例11%で,家庭訪問を実施したのは6例67%となっており,全例新たに自宅改修を実施しており,低下群でも多くが住宅改修等を実施し自宅復帰していた.
【考察】今回の調査にて,移動手段低下の原因として,年齢・訓練頻度が関係していることが示唆された.訓練頻度に関しては,移動手段低下群には、合併症として重度の誤嚥性肺炎・痴呆などが認められた.これらの結果より、主病名が骨折であっても,チームとしてさらに嚥下評価の徹底を図る必要性を再認識した.また重度痴呆で拒否のある症例に関しては,活動性の維持向上のために,訓練場面のみでなく病棟での過ごし方等も他職種と共にアプローチしていく必要性を感じた.
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© 2004 日本理学療法士協会
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