抄録
【はじめに】
現在,先天性筋強直性ジストロフィー症(CDM)の発達経過や理学療法についての報告は少ない.今回私は約3年半にわたりCDM児の理学療法を行う機会を得たのでその経過を報告する.
【症例】
当院に入院中のCDM男児2例.PTの他にOT,ST,保育士,看護師,医師も関わっている.症例1初診時2才8ヶ月で定頚あり,寝返り可,独座可,腹這い可.精神面(遠城寺):基本的習慣5ヶ月,対人関係4ヶ月,発語3ヶ月,言語理解2ヶ月.症例2初診時1才11ヶ月で定頚あり,起き上がり可,独座可,四つ這い可,伝い歩き可.精神面:基本的習慣6ヶ月,対人関係8ヶ月,発語9ヶ月,言語理解1才.両症例ともROM制限ないが立位時足部内側アーチの崩れ,四肢・体幹筋緊張低下あり.
【発達経過と理学療法】
症例1治療回数と期間は週1回の運動療法を3年6ヶ月間実施.発達経過は四つ這い3才,つたい歩き3才5ヶ月で獲得,立位時足部の内側アーチの崩れと膝の過伸展みられるため4才8ヶ月からSLBを使用し,後に膝の安定性が向上し靴型装具へと移行した.独歩5才10ヶ月,立位保持6才で獲得.6才時での精神面:基本的習慣1才6ヶ月,対人関係9ヶ月,発語6ヶ月,言語理解1才.理学療法の具体例は,伝い歩き獲得時から,立脚期の股関節屈曲・膝過伸展・足部内側アーチの崩れがあり体幹の安定性と下肢の支持性の不足,歩行遊脚期に内返しがみられるので,足部の変形拘縮予防とアライメント修正のためにROMex.を行った上で装具を用い立位・歩行練習を行った.症例2週1回の運動療法を3年間実施.歩行器歩行2才2ヶ月,立位保持2才3ヶ月,独歩2才9ヶ月,速歩き4才3ヶ月,階段昇降4才8ヶ月で獲得.初期に見られた四肢・体幹の筋緊張低下や足部内側アーチの崩れは歩行の獲得とともに軽減してきており装具は使用していない.4才10ヶ月時での精神面:基本的習慣3才,対人関係2才3ヶ月,発語2才2ヶ月,言語理解4才.理学療法の具体例は,歩行獲得時から骨盤回旋が大きく,体幹の安定性の不足とそれに伴う四肢の支持性・活動性の低下がみられ,また症例1と同様に内反しや軽度内側アーチの崩れがみられたのでバルーンやロール上での座位保持練習や起居動作練習,足部のROMex.と歩行練習を行った.現在両症例ともROM制限なし.
【考察】
発達経過は両症例で異なるが,運動機能面,精神面とも緩徐に発達してきている.この両面は相乗効果がみられることも考えられた。両症例とも,体幹の安定性の不足,足部の内側アーチの崩れ,歩行時内返しがみられた.以上からアライメントの維持や変形拘縮予防のために足部のROMex.と体幹の安定性向上を中心に理学療法を行なう必要があると考える.また他部門と情報交換をすることで理学療法を日常生活に取り入れることが出来た事も発達の一因であったと考える.