理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 567
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神経系理学療法
脳卒中片麻痺患者における乗馬シミュレータ導入後の重心動揺について
*田上 茂雄宮崎 朋子湯地 忠彦東 祐二藤元 登四郎辻 美和関根 正樹南部 雅幸田村 俊世
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抄録
【はじめに】乗馬療法における反射能力向上や筋力向上をなどの身体的効果を実現する目的で開発された乗馬フィットネス機器ジョウバ(NAiSジョウバ、松下電工製、以下ジョウバ)は、高齢者や慢性期の患者や糖尿病の運動療法に効果的であるとされている。今回、脳卒中片麻痺患者において乗馬シミュレータの効果について重心動揺を計測することにより評価を行ったので報告する。
【対象】当病院入院中または外来通院中の脳卒中片麻痺患者6例とした。(内訳は、右片麻痺3名、左片麻痺3名、平均年齢52±8歳)なお、本研究は当院倫理委員会の承認を得て、すべての対象者のインフォームドコンセントが得られた後実施した。
【方法】今回、使用したジョウバは乗馬の鞍の部分である本体と手綱用グリップ、あぶみから構成されている。鞍の動きは前後のスライド、前後スイング、左右スライド方向の動作を組み合わせた動きを行う。
実験は、ジョウバに騎乗し15分間乗馬を施行し施行前後にて重心動揺を計測した。
 重心動揺計測は、立位開足間距離5センチ、開足角度45度にて30秒間とし、注視点を眼の高さに設定して施行した。計測は訓練前後に重心動揺計(MA2000アニマ社製)で重心動揺を計測した。
解析は、乗馬施行前後の総軌跡長、単位面積軌跡、外周面積、実効値面積、X方向実効値、Y軸方向実効値の一元配置分散分析を行った。
【結果】ジョウバ施行後、総軌跡長は短くなっており、単位面積軌跡長・外周面積・実効値面積は狭くなっていた(P<0.05)。ジョウバ施行後Y方向実効値において短くなっていた(P<0.05)が、X方向実効値において有意差は認められなかった。
【考察】結果より、ジョウバ施行後は重心の動揺が小さく、重心動揺範囲も狭く安定した。このことから、乗馬の動揺刺激に対して頚部や体幹の立ち直り反応により頚部・体幹筋の活動が高まったことによるものと考える。Y軸方向への動揺が施行後に小さくなった理由は、通常経験の少ない左右方向の刺激に対して同様に筋活動が高まり重心動揺が安定したと考えられた。これらのことから、脳卒中片麻痺患者のバランス訓練においてジョウバの動きが効果的ではないかと示唆された。
【まとめ】
・今回、乗馬シミュレータを用いて脳卒中片麻痺患者の重心動 揺の変化について施行前後で比較した。
・総軌跡長、単位面積軌跡、外周面積、実効値面積、Y方向実 効値において有意差を認めた。
・ジョウバ施行後の重心動揺において安定性が向上した。
・脳卒中片麻痺患者に対し、乗馬療法が効果的であると示唆された。
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© 2004 日本理学療法士協会
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