理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 571
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神経系理学療法
脳卒中片麻痺患者における麻痺側足関節底屈筋群の特性についての予備的研究
*石橋 晃仁南部 美樹高見 史保西村 由香吉尾 雅春
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抄録
【目的】足関節底屈筋群は、歩行やバランスに大きく影響を及ぼし、脳卒中片麻痺患者の運動療法においても考慮されるべき課題である。そこで、片麻痺患者の麻痺側底屈筋群の筋力や足関節のROM、麻痺側を支持脚とした非麻痺側ステップ時の各要素との関連を検討した。
【対象と方法】歩行可能な片麻痺患者24名(男性16名、右片麻痺10名)で、平均年齢は66.0±9.4才、平均罹病期間は31.4±35.6ヶ月であった。麻痺側の足関節底屈筋力は、アニマ社製徒手筋力計μ-Tas MT-1を用い、膝伸展位における足関節中間位での等尺性収縮約5秒間の最大値を測定した。ROMは、麻痺側足関節背屈の他動可動域を、膝関節伸展位で計測した。また、麻痺側下肢を支持脚とした非麻痺側ステップ時の各要素は、次のように求めた。模造紙上で立位をとり、麻痺側の第2趾先端と踵中央をマークした。次に麻痺側を支持脚に、非麻痺側を前方および側方へ努力性にステップし、同様にマークした。前方ステップでの距離とその時の側方への偏位距離、側方ステップでの距離を、転子果長で除した値を算出し、また、麻痺側の足角を計測した。各測定3回のうち、筋力は最大値、それ以外は平均値を求めた。全対象群について、また、下肢12段階片麻痺gradeによるgrade7以下の低grade群12名、8以上の高grade群12名にわけ、それぞれの関係について調べた。
【結果】前方および側方へのステップにおいて、全対象群では、底屈筋力と距離は正の相関、底屈筋力と足角、距離と足角には負の相関が認められた。また、低grade群においても同様の関係が認められた。しかし、高grade群においては、前方へのステップにおける筋力と距離に有意な相関(r=0.657)が認められたが、側方へのステップでは有意な相関は認められなかった。また、前方へのステップの際、距離と側方への偏位距離には相関はなく、筋力と側方への偏位距離では、高grade群、低grade群において相関は認められなかった。ROMについては、各項目との有意な関係はなかった。
【考察】ステップの距離と筋力には、高grade群で、前方では有意な関係であったが、側方では無関係であった。前方へのステップで、側方への偏位距離と筋力は無関係であった。これらのことから、底屈筋力はステップにおいて重要な要素であることが示唆されたが、側方へは運動麻痺が軽度な例においては、筋力以外の要素による代償も考えられる。また、前方へのステップの際、その距離と側方への偏位は無関係で、基底面を広くとるなどの安定性の確保の可能性は、本結果からは明らかにならなかった。これらのことから、片麻痺患者への麻痺側底屈筋群へのアプローチでは、筋力強化の重要性とともに、その使い方も考慮したトレーニングが重要である可能性が示唆された。
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© 2004 日本理学療法士協会
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