抄録
【目的】脳卒中片麻痺患者において、平行棒内静止立位時の健側上肢、患側下肢、健側下肢の荷重が急性期と慢性期で異なるかどうかを検討するため
【対象と方法】当院における発症後3~9週の入院中の片麻痺患者5名(平均年齢68±10.35歳)と発症後1年以上7年未満の外来通院中の片麻痺患者6名(平均年齢65.5±7.39歳)を対象とした。
入院群では、脳内出血3名脳梗塞2名で下肢のBurunnstrom stage(以下B.S.Tとする)3が2名B.S.T5が3名で、裸足開脚にて手放し立位可能であるが病棟内独歩不可であった。外来群は、脳内出血2名脳梗塞4名で、下肢のB.S.T3が2名B.S.T4が1名B.S.T5が3名で、独歩可能(T字杖、装具など使用)10m歩行は平均20.45±9.04秒であった。方法は日立機電工業の立位練習機エチュードボーを用いて30秒間の静止立位を測定した。条件は以下のように設定した。裸足軽度開脚にて静止立位をとり、視線は前方注視位をとり、また大転子の高さにあわせた平行棒を健側上肢で腸骨のやや斜め前方のところで持つようにした。健側上肢、患側健側下肢それぞれの平均荷重を合計した平均荷重で除し荷重率%を計算し解析を行った。
【結果】急性期の平均荷重率は、健側上肢1.45±2.11% 健側下肢60.81±7.53% 患側下肢37.74±9.35%であった。慢性期の平均荷重率は、健側上肢0.84±0.86% 健側下肢51.14±2.05% 患側下肢48.04±2.78%であった。健側下肢の平均荷重率において急性期と慢性期では有意な差がみられた(P<0.05)。しかし、健側上肢と患側下肢の平均荷重率において急性期と慢性期で有意な差はみられなかった。急性期の荷重率において健側上肢と健側下肢は正の相関、健側上肢と患側下肢は負の相関(P<0.05)また慢性期の健側上肢と健側患側下肢の荷重率についても同様の相関がみられた。
【考察】健側下肢の荷重率のみ急性期と慢性期に有意な差がみられた。急性期の場合、まだ機能障害が回復途上であり患側に支持性がなく、健側下肢優位の立位保持となっていたためと考えられる。先行研究から麻痺が重度なほど健側にかかる荷重量が多いとされている。今回の結果からもそれを確認でできたが、慢性期の歩行自立している患者では平行棒をもって立位をとった場合患側の方に荷重率が高くなることもあった。今回B.S.T6の該当者はいないがB.S.T5が6人中3人と多かったためと、平行棒をもつことにより姿勢をコントロールする支点ができ、より負担なく患側に体重をかけやすくなったためと考えられる。また急性期、慢性期とも、平行棒にかかる荷重は下肢との相関が認められた。日ごろ患側下肢への荷重を主に意識して治療することが多い、しかし健側上肢への荷重を意識して治療を進めることで患側下肢への荷重につながると推測される。今後は健側上肢の前後方向にかかる力も検討していきたい。