抄録
【はじめに】脳卒中リハ・クリニカルパス対象者のうち,下肢装具を作成した片麻痺患者について装具処方時期と発症から3か月後の歩行状態を検討したので報告する.
【対象】2000.9.1~2003.7.30の期間で,リハ科を初診した脳卒中片麻痺患者のうち脳卒中リハ・クリニカルパスが適用され,下肢装具を作製した脳梗塞(軽度2名,中等度8名,重度8名)18名(AFO12名,KAFO6名)と脳出血(軽度1名,中等度11名,重度23名)35名(AFO18名,KAFO17名)の計53名(平均年齢59.9±11.0歳)を対象とした.
【方法】診療記録より処方装具,装具検討日,発症から2か月時使用装具等を調べた.また,発症から1,2,4週のJCS,座位能力,下肢12段階片麻痺グレード(以下,下肢グレード), 失語,失認,失行,痴呆,筋緊張の有無と,追跡調査が可能であった49名(脳梗塞15名,脳出血34名)の発症から3か月時使用装具,歩行介助の有無を調べた.分析はカテゴリカル回帰分析を行い関連因子と寄与率を検討した.有意水準はp<0.05とした.
【結果】梗塞群の装具検討はAFO群とKAFO群で有意差はなく17.0±8.2日であった.その他,座位や歩行開始時期も有意差は無かった.2か月時使用装具は処方時と変更が無く,3か月時使用装具は回答があった症例についてはすべてがAFOを使用していた.3か月時歩行能力は介助有群5名,介助無群10名であった.歩行介助の有無について1週での関連因子は,下肢グレード,意識障害,失行の重要度が高く,6因子でR2乗0.85であった.出血群の歩行開始はAFO群13.7±5.5日,KAFO群30.5±14.3日,装具検討はAFO群19.4±8.8日,KAFO群30.1±16.2日でともにKAFO群が有意に遅かった.2か月時使用装具はAFO 17名,KAFO16名,装具無2名,3か月時使用装具はAFO19名,KAFO13名,装具無2名であった.2か月・3か月時使用装具の2週での関連因子は下肢グレード,意識障害,座位能力の重要度が高く,ともに8因子でR2乗0.72であった.3か月時歩行能力は介助有群19名,介助無群15名で,介助の有無について2週で意識障害,痴呆,失認の重要度が高く,5因子でR2乗0.82であった.
【考察】梗塞群の装具処方はAFO,KAFOともに約2週で検討できた.出血群においてAFO群は約3週で処方検討されていたが,歩行開始が約2週であること,2週の意識障害が軽度なことから2週での装具検討が可能と考える.KAFO群は重度な意識障害の例が多いため,検討時期が2~4週とばらついたものと考える.出血群の2・3か月時使用装具について1,2週因子の寄与率は低く,他因子や時期の検討も必要と考える.3か月時での歩行介助の有無は,梗塞群は発症から1週の下肢グレード,高次脳機能との関連が高く予測しやすいが,出血群は重度対象者が多かったため,2週で意識障害や痴呆などの影響が大きかったと考える.