2017 年 2017 巻 68 号 p. 59-64
2013年にこれまでさび病の発生がなかった八幡平の登山道沿いのリンドウに本病(さび胞子世代)が 多発するようになったため,その伝染源(冬胞子形成ヌマガヤ)を探索した.隣接湿原の中に,これまでわずかしか自生していなかったリンドウが多数混生するようになった.そして,その近くに夏胞子・冬胞 子世代が形成されたヌマガヤ自生域(約111 m2)を見出した.この伝染源からの距離と登山道沿いのリン ドウ発病茎率との間に対数近似曲線が求められた.ヌマガヤから発病リンドウの距離は年次変動が認めら れた.リンドウさび病が少発であった2014年はヌマガヤ自生域近くでしか発生しなかったが,多発した2016年は110 mの地点まで発生が認められた.なお,34~38 mの地点で発病がやや増加する傾向が認められたため,ヌマガヤを探索した結果,30 m地点近くにもごく狭いものの,さび病が発生しているヌマガヤ自生域(2 m2)が確認され,これもリンドウへの伝搬に影響したと推察された.