理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 108
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骨・関節系理学療法
仙腸関節機能不全と運動機能 第3報
腸骨変位からの分析
*山本 尚司大藤 晃義赤木 家康
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抄録
【目的】仙腸関節(以下SIJ)は可動性の低下がおきると、末梢関節の痛みや柔軟性の低下をもたらす。我々は、このような仙腸関節機能不全(以下SIJD)が、下肢筋力や関節可動域・立位荷重バランスなど運動機能を反映していることを報告した(第37回・第38回日本理学療法学術大会)。今回、SIJの評価指標の一つであり、運動機能と関係が深いと考えられる腸骨変位と、SIJDおよび重心動揺との関係について検討し興味ある知見を得たので報告する。
【対象】被験者は、健常成人29名(男性17名、女性12名、年齢30.6±17.9歳、身長166.7±10.1cm、体重62.8±9.0g)であった。
【方法】1)SIJD評価:片脚立位で挙上側の後上腸骨棘(以下PSIS)の上方変位側をSIJDとした。2)腸骨変位評価:左右のPSISの位置関係、臥位での脚長差を相対的に比較し、前上方変位をAS(Anterior Superior)腸骨、後下方変位をPI(Posterior Inferior)腸骨とした。
3)重心動揺:前方を注視した閉足直立位にて、重心動揺計(木更津高専製)を用い、開眼および閉眼の順に30秒間測定した。次に、閉眼にて順後不同にて前後左右へ最大体重移動を行った位置でそれぞれ30秒間測定を行った。データ分析は、X(左右)方向・Y(前後)方向の平均値(mm)を求め、前方・右方を+表示とした。
4)データ処理:開閉眼直立位間および閉眼直立位からの最大体重移動時の差について、SIJDと腸骨変位の要因間で二元配置分散分析をおこなった。また、重心動揺のX成分について、ASとPI腸骨側への体重移動値の絶対値を求めWilcoxon符号付順位和検定にて比較検討した。危険率は5%を有意差ありとした。
【結果】SIJDと腸骨変位の要因間で交互作用はみられなかった。開閉眼直立位における重心動揺は、開眼にてPI腸骨側へよりX成分の変位が大きくなる傾向がみられたが、有意差はみられなかった。最大体重移動時の平均値は、AS腸骨側1.4±11.8mm、PI腸骨側9.3±15.7mmであり有意差が認められた(p<0.05)。
【考察】我々はSIJDでは非荷重側になりやすく、PI腸骨側ではAS腸骨側に比べ下肢筋力が強くなることを報告してきた。今回、PI腸骨ではAS腸骨側に比べ動的な課題において、X成分での変化量がより大きくなることが認められた。動的な姿勢制御になるほど、足圧中心の対応能が不可欠となってくるものと考えられ、SIJが姿勢制御において重要な役割を担っていることが示唆された。SIJは仙骨および腸骨からみた機能分類がみられ、各々姿勢制御における役割があるものと考えられる。今後、さらに仙腸関節と動的な姿勢制御における検討を加えていきたい。
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© 2004 日本理学療法士協会
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