理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 156
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骨・関節系理学療法
TKA術後におけるDVT、PTE発生患者の臨床的特徴と術後理学療法に与える影響
*木口 和明上村 恭生前本 英樹岡嶋 啓一郎阿部 靖之
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キーワード: TKA術後, DVT, リスク因子
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抄録
【はじめに】近年,術後合併症として深部静脈血栓症(DVT)と肺血栓塞栓症(PTE)が問題になっており,当院整形外科でも下肢術後は積極的にその予防に取り組んでいる。それでも完全に予防することは困難な為,どのような患者が発生しやすいのか,TKA術後症例において臨床的特徴を調査した。併せて術後理学療法に与える影響について調査検討した。
【対象】2002年1月から2003年9月まで当院にてTKAを施行した50例(男性8例,女性42例)54肢を対象とした。平均年齢73.5歳(54~87歳)であった。
【予防策】1)脱水の補正,予防,2)足関節自動運動,3)弾性ストッキング,4)間欠的下肢空気圧迫装置,5)早期離床,6)薬物による予防法(アスピリン,ワーファリン,ヘパリン)
【PT内容】術後2日目よりROMex, CPM,歩行訓練,下肢筋力増強訓練,足関節自動底背屈訓練を行った。DVT,PTEが判明してもPTを中断する症例は無かった。
【調査内容】1) DVT,PTEの発生率,2) DVT,PTE発生群とそれ以外群のDVT,PTE発生のリスクスコア(ISCVS/SVS),リスク因子の比較検討(年齢,性別,術側,BMI,手術時間,出血量),3)DVT,PTE発生群とそれ以外群の術後入院日数, ADL到達度の比較検討。
【結果】1)54例中11例(20.4%)が静脈造影CTにてDVT,PTE発生が確認された。診断日は術後平均7.4日であった。2)リスクスコア,各リスク因子に統計学的有意差は見られなかったが,リスクスコアは全ての症例がハイリスクに分類された。3)DVT,PTE発生群とそれ以外群でADL上差は無かった。DVT,PTE発生群の術後入院日数は25.1±6.8日,それ以外群では22.0±6.5日であった。
【考察】今回の調査ではDVT,PTEはTKA術後に高頻度に発生するが,発生患者の臨床的特徴は明らかにはならなかった。これはTKAそのものがハイリスクであるため,どの症例にもDVT,PTEは発生しうることを示唆している。従って我々理学療法士も予測困難なDVT,PTEに対して,下腿の腫脹やSpO2低下などを注意深く観察し,早期発見に努めなくてはならない。画像上、DVT,PTEが早期発見できれば、早期治療を行いながら、PTを継続可能であった。また,今回DVT,PTE発生例でADLや術後入院日数に変化が無かったことはPTを中断せずに行った為だが,どの程度の患者からPTを中断しなければならないのかを今後検討していく必要がある。
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© 2004 日本理学療法士協会
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