理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 216
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骨・関節系理学療法
パーキンソン症候群における大腿骨頚部骨折の術後理学療法
*森川 由季, 前野 里恵, 北川 敦子, 栗山 信江, 野田 裕太, 足立 徹也
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抄録
【目的】無動、固縮、振戦、姿勢反応障害などを主症状とするパーキンソン症候群ではバランス能力低下から、転倒する頻度が極めて高い。転倒により大腿骨頸部骨折(以下、頸部骨折)を受傷する例は多いが、これらの術後の理学療法(以下、PT)訓練についての報告は少ない。そこで我々はパーキンソン症候群を有し、転倒により頸部骨折を受傷した症例に対して、術後のPT訓練経過と訓練の配慮点について検討を行った。
【対象と方法】2000年4月~2003年8月までに転倒により頸部骨折を受傷し、観血的整復固定術後に当科にてPTを施行した203例のうち、パーキンソン症候群11例(5.4%)を対象とした。内訳は男性5例、女性6例、平均年齢77.3±8.0歳。パーキンソン病7例、血管性パーキンソン症候群1例、進行性核上性麻痺1例、原因不明のパーキンソン症候群2例で、術式は人工骨頭置換術4例、CHS7例である。これらの対象について、診療記録から後方視的に受傷前身体機能とPT訓練経過を調査した。
【結果】頸部骨折術後のPT訓練としては、一般頚部骨折術後のPT訓練と同様に、関節可動域訓練、筋力増強訓練、立位荷重訓練、歩行訓練、ADL訓練を中心に施行していた。訓練での配慮点として、関節可動域訓練では股関節屈曲、内転位が強く術肢の脱臼肢位を予防する必要があった他、四肢、体幹に対する関節可動域訓練も合わせて実施していた。また、個々の筋に対する筋力増強訓練が困難な症例や、部分荷重の調節が不可能な症例については、起立や立位保持に置き換える工夫があった。歩行訓練に関しては、全症例とも全荷重が許可されてから実施していた。すくみ足や小刻み歩行の出現、方向転換が困難なことから、早期より手引き歩行や歩行器歩行を利用し、動作の誘導を実施していた。
受傷前の移動能力は屋外歩行自立2例、屋内歩行自立5例、介助歩行3例、車椅子1例であった。術後のPT訓練における移動能力は屋内歩行自立1例、介助歩行4例、歩行不能6例(車椅子5例、死亡1例)であった。この歩行不能例のうち介助歩行を一度獲得したが、終了時には歩行不能となった者が3例いた。これら歩行不能例の訓練経過において、パーキンソン症候群の主症状である固縮、無動の増加、痴呆などの精神機能低下、合併症として肺炎、発熱、てんかんの他、易疲労からの訓練拒否などが見られた。
【考察】無動、固縮、姿勢反射障害といったパーキンソン症候群の主症状が問題となり、術後のPT訓練においての配慮が必要である。筋力増強訓練や荷重訓練では、動作を通じて実施する工夫が見られていた。また、術後の身体機能低下に加えて、パーキンソン症候群の症状増悪や精神機能、肺炎などの二次的合併症など、全身状態の変化に合わせてPT訓練の内容検討を行う必要性があると考えられた。
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© 2004 日本理学療法士協会
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