理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 281
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骨・関節系理学療法
松葉杖部分荷重における足底圧中心の分類
*坂口 顕金井 秀作前岡 浩鵜崎 智史川原 由紀渡部 幸喜沖 貞明
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抄録
【目的】松葉杖を用いての部分荷重歩行は、骨折後や人工関節置換術後などの骨・関節疾患におけるADLにおいて欠かせないものである。また、この部分荷重の学習については理学療法士により指導されることが多い。しかしながら、部分荷重の時期における全荷重側下肢の機能や、それに対する訓練というものはあまり検討されずに見過ごされている。そこで今回、われわれは松葉杖部分荷重歩行時の全荷重側下肢の足底圧中心点(以下COP)について検討した。
【方法】対象者は健常者6名(男3名、女3名、平均年齢27.7±1.97歳)とし、検証する動作は両松葉杖2/3部分荷重裸足歩行および片松葉杖2/3部分荷重裸足歩行とした。歩行スピードについては任意のスピードとし試行回数は2回とした。また、COPの計測についてはnitta社製F-scanを使用し、各条件にて行った松葉杖歩行時のCOP 軌跡の特徴を確認すると共に、そのパターンを3つに分類した。
【結果】両松葉杖歩行、片松葉杖歩行共に部分荷重側のCOPは動揺を示さなかったのに対し、全荷重側のCOPは動揺する傾向を示した。その動揺はすべて立脚中期に起こり、足底接地直後から動揺する型が4名(FF前期型)、足底接地後、踵離地直前に動揺し始める型が1名(FF後期型)とその混合型1名に分類することができた。両松葉杖歩行ではFF前期型が4名、FF後期型が1名、混合型が1名であった。これらは2回の試行によっても不変であった。
【考察】松葉杖歩行では全荷重側立脚相において、部分荷重側下肢と合わせて松葉杖を振り出すために、全荷重側下肢には通常の歩行に比して、より多くのバランス能力が要求されると考える。今回、健常人における片松葉杖、両松葉杖の部分荷重歩行において全荷重側にCOPの動揺が大きかったことはそれを裏付けるものと考えられる。加えて、OAなどの関節疾患の患者や骨関節変形を合併することの多い高齢者であれば、より大きい動揺が出現することも考えられることから、本研究の結果は、松葉杖部分荷重時期の全荷重側下肢へのアプローチの重要性を示している。
【まとめ】健常人に対して松葉杖部分荷重裸足歩行時のCOPについて検討した。部分荷重側は一定のCOPを示したのに対して、全荷重側は全例において動揺する傾向を示すと共に、すべて立脚中期に動揺を示し、そのCOP軌跡は3パターンに分類された。
 これは松葉杖部分荷重期における全荷重側への理学療法の重要性を示唆している。
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© 2004 日本理学療法士協会
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