理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 318
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骨・関節系理学療法
椅子を用いた体幹に対する簡易な自主運動の紹介
*塩島 直路, 外間 宗和, 山口 光國
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キーワード: 椅子, 重心, 体幹
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抄録
【はじめに】重心が後方に偏位した姿勢は様々な関節障害を生む一因とされている。また、立位時に体幹の質量中心が後方に位置し,足圧中心も後方に偏位する姿勢パターンは、臨床場面でも比較的多い印象を受ける。この様な姿勢に対するアプローチとして,椅子を用いた簡易な自主運動を考案し,これに検討を加えたので報告する。
【対象・方法】対象は同意を得られた12名(男性9名,女性3名,平均年齢27.8歳)とした。以下の手順で課題動作を行った。1:壁から約1m離れた椅子に浅く腰掛け、椅子の後脚を約15cm持ち上げる(椅子は座面が滑りにくいものを使用した)。2:足位を前方に約半足長分移動する。3:両手を回内位で組み,肩関節の高さまで挙上する。4:組んだ両手の高さを保ちながら前方へ30cm程度移動し、タオルを当てた壁面を拳部分で押す。5:壁面を押した状態を保ちながら椅子の後脚を降ろし,再度持ち上げる(後脚の最下点が床面と接触しない程度に壁面との距離を調節した)。これを約30回繰り返す。
 以上の課題動作前後における安静立位時の重心の動揺中心変位および脊柱形状の変化を調査した。重心動揺計(Kenz-stabilo101)上にて、前方を注視しながら30秒間の安静立位を保持し、重心動揺を計測した。この際、足位の再現性を高める為のアタッチメントを用いた。さらに、計測された動揺中心変位の前後方向への要素(足長の中点を0cmとして前方を正,後方を負の値とした)について,課題動作前後の値をt検定にて検討を加えた。また,安静立位時の脊柱の形状をindex社製Spinal Mouseにてトレースし,鉛直線に対する第1胸椎と第1仙椎を結んだ線の角度(前傾を正,後傾を負の値とした)を計測して課題動作前後で同様に検討した。
【結果】動揺中心変位は-1.66±1.30cmから-0.84±1.43cmへ有意に変化した(p<0.05)。脊柱の鉛直線に対する角度は3.1±2.7°から3.9±2.4°へ前傾する傾向にあったが,有意ではなかった。また,その形状の変化も各被験者間で明確に共通したパターンは認められなかった。
【考察】本実験において動揺中心変位の前方移動は認められたが,脊柱の形状に定型的な変化は観察されなかった。この事から重心の前方移動を生じさせた機序は脊柱部分では単一ではないと推察できる。また,筋電計を用いての分析を行っていない為に重心の前方移動に貢献した筋を特定する事は困難であるが,課題動作を座位で行なう事で骨盤よりも高位の関節に多くの影響を与えたものと思われる。さらに,推察の域を出ないが、拳部分を壁面に付ける事から,on handsに近付けた状態での運動となり,肩甲帯への刺激となった可能性も考えられる。今後、変化の機序について検証し、本課題運動の適応となる症例を明らかにして行きたい。
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© 2004 日本理学療法士協会
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