理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 336
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骨・関節系理学療法
股関節屈曲背臥位での膝伸展運動の特異性と臨床的意義
*松本 和久木村 篤史冨田 健一永山 智貴
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抄録
【目的】大腿四頭筋はひとが起立歩行する上で極めて重要な筋であり、筋力増強訓練が行われる頻度は高い。我々の臨床経験上この訓練を端座位で徒手抵抗にて行う場合、大腿四頭筋の筋力の低下した変形性膝関節症などの患者は、膝関節伸展の際に股関節を強く伸展し膝を床に押し付ける傾向が見られた。そこで、我々は同じ運動を股関節屈曲背臥位(背臥位)で行い、股関節を伸展させないように膝関節を伸展させると、抵抗が端座位よりも少ないことを発見した。本研究の目的は、膝伸展運動を背臥位と端座位で行い、膝伸展ピークトルクと膝関節周囲筋の正規化積分筋電図を比較し、股関節屈曲背臥位での膝伸展運動の特異性と臨床的意義を検討することである。
【方法】対象は健康成人6名12肢とし、実験により大腿四頭筋をはじめとする下肢筋群に筋肉痛の出現する可能性があること、およびいつでも実験への参加を中止することができることなどを説明した後、同意を得た。測定肢位と測定範囲は、端座位はわずかに傾斜のついた座面で背面シートにもたれる形の股関節屈曲90°位の端座位とし、膝関節90°屈曲位から自動最大伸展位までの間を、背臥位は非測定肢の股関節と膝関節を伸展位とし、測定肢股関節100°屈曲位、内外旋中間位の状態で、膝関節屈曲100°から自動最大伸展位までの間とした。被験者は川崎重工社製MYORET RZ-450を用いて最大随意収縮による等運動性求心性膝伸展運動を、各肢位の測定範囲で角速度10、20、30°/secで行い、伸展ピークトルクとその発生角度及び正規化積分筋電図を測定し比較した。筋活動の測定は、大腿直筋 、内側広筋、外側広筋、半腱様筋、大腿二頭筋長頭、大腿筋膜張筋を導出筋とし、各筋の表面電極部位はEdward F. Delagiらの方法に準じて電極中心を決定し、皮膚表面を十分に前処理した後、双極性表面電極2個を電極中心間隔3cmで貼付した。これらの積分筋電図を、NORAXON社製MyoClinicalを用いてサンプリング周波数1000Hzで算出し、収縮時間で除した1秒あたりの正規化積分筋電図を求めた。
【結果】その結果、伸展ピークトルクはすべての角速度で端座位のほうが背臥位よりも有意に高値を示した。またこの時の膝関節屈曲角度は背臥位が端座位より10°程度有意に大きかった。正規化積分筋電図は10°/secでは大腿直筋で、20°/secでは大腿直筋と内側広筋で背臥位は端座位より有意に高値を示した。また30°/secでは半腱様筋と大腿二頭筋で端座位より背臥位で有意に低値を示した。
【考察】このことから股関節屈曲背臥位での膝伸展運動は、膝関節伸展ピークトルクは少ないが大腿直筋と内側広筋の筋活動は大きく、また拮抗筋である半腱様筋や大腿二頭筋の筋活動は小さくなる特性を有し、臨床的には力の弱い施術者や膝関節への負担を少なくしたい患者に対する抵抗運動には適していると考えられた。
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© 2004 日本理学療法士協会
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