理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 756
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骨・関節系理学療法
肩腱板断裂の術後予後
*中村 光一郎山下 導人内野 潔
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キーワード: mclaughlin法, ahi, 術後筋力
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抄録
【はじめに】肩腱板断裂に対する再腱法として様々な観血的手技が用いられ、今回、Mclaughlin法(以下M法)に着目した。術後成績を調査する目的で、単純X-Pを用い、筋力の回復がどこまで予測可能かを検討したので、報告する。
【対象】腱板完全断裂患者、男性14例、女性3例、計17例。平均年齢62.9±10歳。経過観察期間は最短6ヶ月、最長6年、平均3.5年である。術式は、全症例において、M法にての縫着に、C-A靱帯の切離と、anterior acromioplastyを追加したものである。
【方法】A)術前・後の肩峰骨頭間距離(以下AHI)の有意差。B)断裂径と術前・後AHIの相関。C)断裂径と術後筋力(屈曲・外転・外旋・内旋)の相関。D)術前・後AHIと術後筋力(屈曲・外転・外旋・内旋)の相関。尚、術後筋力はバネ計りを用い、Isometricにて測定した。(屈曲90°、外転90°、内・外旋中間位)。
【結果】A)AHI:術前8.7±2.6mm、術後10.5±1mm。有意差あり。(p<0.05)。B)断裂径:3.7±1.4cm。術前AHI:負の相関(r=-0.68)。術後AHI:相関なし。C)術後筋力 屈曲:5.2±2.9kg(r=-0.63)、外転:3.6±2.0kg(r=-0.72)、外旋:6.7±2.2kg(r=-0.54)、内旋:9.3±3.4kg(相関なし)。C)術前AHIと筋力の相関性。屈曲(r=0.63)、外転(r=0.59)、外旋(r=0.69)、内旋(相関なし)。術後AHIと筋力は相関なし。
【考察】腱板断裂において骨頭が上方に移動する原因として、山口らは次のような仮説をたてている。腱板は4つの筋が合わさり、骨頭を臼蓋に押し付けるcoupling forceを生み出す。棘上筋が断裂した時、残る3つの筋の合力と、臼蓋の前外方への傾きにより、骨頭は上方に押し上げられる。スペーサーの役割をする棘上筋がなく、さらに三角筋も関与し、骨頭は更に上昇するというメカニズムである。術後のAHI拡大は、手術によりスペーサーが復活した事、また、棘上筋のdepressor効果向上によると考えた。断裂径が大きければ、同様にスペーサーの役割とdepressor効果の減弱により、AHIが縮小すると考えられた。断裂径と術後筋力に相関を認め、断裂径が大きい程、術後筋力が劣る結果を得た。これは、柴田・信原らの断裂が大きい症例は肩機能が劣り、M法術後も成績が劣るという報告と近似していた。また、術前AHIと術後筋力に相関を認めた事より、術前X-Pより術後筋力を予想できるのでは、と考えられ、今後の訓練、治療へと役立てて行きたい。
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© 2004 日本理学療法士協会
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