理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 863
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骨・関節系理学療法
肩腱板断裂例の等運動性筋力評価
*高橋 友明畑 幸彦唐澤 達典青木 幹昌立本 健二川崎 桂子
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キーワード: 腱板断裂, 筋力測定, 損傷度
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抄録
【はじめに】
今回,術前の肩腱板断裂症例に対して等運動性筋力測定器を用いてdynamicな筋力評価を行い,断裂サイズの違いとその筋力の特徴について検討したので報告する.
【対象】
対象は,手術目的で入院した肩腱板断裂症例84例84肩である.これらを術中に確認した断裂サイズによって以下の3群に分けた.moderate-sized tear以下が27肩(以下A群)・large tearが35肩(以下B群)・massive tearが22肩(以下C群)で,検査時年齢は平均59.3±9.8歳であった.なお,健側は,術前において臨床所見でも超音波検査でも腱板断裂を疑わせる所見を認めなかった.
【方法】
肩関節の筋力測定は,術前に,同一検者が3群に対してBIODEX社製トルクマシン(Multi joint system 2AP)を使用して行った.坐位にて,肩関節屈曲・伸展方向と肩90°外転位での内旋・外旋方向に3回ずつ測定した.測定可動域は,屈曲・伸展方向が屈曲180゜から伸展20゜,肩90°外転位での内旋・外旋方向が内旋40゜から外旋90゜に設定した.角速度は60°/secに設定して,それぞれの運動方向のピークトルク健側比を測定して比較した.ただし疼痛のある症例に対しては測定前に医師によって1%キシロカイン10mlの肩関節内注射が施行された.注射施行の対象者には,医師より注射施行の説明を行い,同意を得た者とした.なお,有意差検定はMann-Whitney's U testで行い,危険率0.05未満を有意差ありとした.
【結果】
A群とB群の間では,すべての方向において有意差を認めなかった.
B群とC群の間では屈曲方向と肩90°外転位・外旋方向で有意差を認め(P<0.05,P<0.05),C群の筋力がB群に比して有意に低下していた.
A群とC群の間では4方向すべてにおいて有意差を認め(P<0.005,P<0.05,P<0.005,P<0.05),C群の筋力がA群に比して有意に低下していた.
【考察】
今回,等運動性筋力測定器(BIODEX)を用いてdynamicな筋力評価を行った結果,断裂サイズがmassive tearになるとmoderate-sized tear以下およびlarge tearに比して屈曲方向と外転位・外旋方向で著明な筋力低下を生じることが分かった.したがって,棘下筋腱や小円筋腱に損傷がおよぶmassive tearになるとtransverse force coupleの破綻をきたして著明な筋力低下が生じると推察した.
以上のことから,肩腱板断裂例における術前の筋力において,断裂サイズの違いは筋力低下の程度に違いを生じ,その境界がlarge tearとmassive tearの間にあると思われた.
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© 2004 日本理学療法士協会
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