理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 877
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骨・関節系理学療法
靴の違いが運動課題に及ばす影響
*成田 大一尾田 敦
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キーワード: , 運動能力, 足部機能
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抄録
【はじめに】靴は足部を保護するばかりではなく,足部機能を向上させるものであるが,理学療法場面において,前者のほうが優先され,また着脱が容易ということからもバレーシューズを履いている状況が多々見受けられる。そこで靴の選択の第一段階として,足部機能を支持する構造のある紐靴(スポーツシューズ),足部機能を支持する構造があり着脱の容易なマッジクテープの靴,足部機能を支持する構造のないバレーシューズという3つの条件の違いにより運動課題の成績がどのように変化するかを明らかにすることを目的として本研究を行った。
【対象および被検靴】健常女性16名の32足を対象とした。被検靴は市販されている22.5cm,23.5cmのスポーツシューズ(某M社製),マジックテープの靴(某P社製),バレーシューズ(某A社製)である。なお足囲サイズはスポーツシューズとバレーシューズはEE,マジックテープの靴はEEEである。
【方法】運動課題として,片脚立位での重心動揺集中面積(以下,SD Area)の測定と下肢の機能的運動能力テストであるFunctional Ability Test(以下,FAT)を用いた。SD Areaはアニマ製Gravicorder GS1000のフォースプレート上に上述の3条件にて開眼で片脚立位となり左右別々に測定した。FATは(1)片脚幅跳び,(2)片脚8の字跳躍,(3)片脚横跳び,(4)片脚段差昇降,の4種目からなり,上述の3条件にて行わせた。なおこれら3条件の順番および種目の順番は無作為とした。統計処理は左右32足での3条件におけるSD AreaおよびFATの4種目の成績をTukey検定を用いて比較し,危険率5%未満を有意とした。
【結果と考察】SD Areaによる比較では,平均値においてバレーシューズの成績がやや低かったが,有意な差は認められなかった。この結果から,バレーシューズと比較してスポーツシューズやマジックテープの靴は靴底が厚く,足底からの感覚情報のフィードバックの制限が大きいと考えられるが,足部機能を支持する構造を有しているため,足部の能力を発揮させやすく,有意差が現れなかったのではないかと考える。FATによる比較では,全体としてスポーツシューズの成績が最も高かった。この結果はスポーツシューズの足部機能を支持する構造に起因するものと考える。しかし,同じく足部機能を支持する構造を有するマジックテープの靴ではスポーツシューズに比べ,片脚幅跳びと片脚8の字跳躍という前方への強い蹴り出しを必要とする課題において有意に成績が低かった。このことは靴底の摩擦力の違いによるものではないかと推測され,摩擦力を考慮した上で靴を選択していくことの必要性が示唆された。バレーシューズはスポーツシューズと比較して片脚8の字跳躍以外の3種目において有意に成績が低く,またマジックテープの靴と比較して片脚段差昇降において有意に成績が低く,運動には適しているとはいえないと思われた。
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© 2004 日本理学療法士協会
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