理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 959
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骨・関節系理学療法
Flexion Relaxation Phenomenonと体幹屈曲速度および腰椎可動性との関係
*山本 洋司下野 俊哉古川 公宣
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抄録
【はじめに】Flexion Relaxation Phenomenon(以下FRP)はFloyd,Silverらにより述べられており,体幹屈曲40~70°の範囲で見られる脊柱起立筋の急激な筋活動減少である.しかし,FRPの起こる角度は個体差があり,その要因の1つとして腰部,骨盤を含めた下肢の軟部組織の可動性や運動リズム,そして体幹屈曲速度が考えられる.しかしその詳細を検討した研究は少ない.そこで我々はFRPと腰椎,骨盤の可動性および体幹屈曲速度との関連性に着目し研究を行った.
【対象】対象は腰部疾患のない健常男性9名とした.
【方法】高さ20cmの台上で立位姿勢をとり,安静立位,体幹最大屈曲,最大屈曲位保持,そして再び安静立位に戻る動作を行わせた.その速度を遅い,普通,速いの順で2回行いその時の筋活動を記録した.表面筋電図はNoraxon社製Myosystem1200とMyovideoを同期させ使用し,電極設置部位は脊柱起立筋(L4棘突起2横指外側),多裂筋(S1棘突起外側)とした.またMyovideoにてFRPの起こった角度を計測するためにL1,S1棘突起上にマーカーを設置し腰椎屈曲角度,骨盤傾斜角を算出した.腰椎の可動性の評価としてSchoberの変法とFFDを用いた.Schoberの変法は安静立位にてヤコビー線上の体幹正中部より垂直に上方9cm,下方3cmの位置にマーキングし,体幹最大屈曲時の長さとの差で表した.統計学的分析では分散分析と回帰分析を用い,有意水準を5%未満とした.

【結果】脊柱起立筋にFRPが起こった時点での腰椎屈曲角度は,屈曲速度の遅い場合22.6±10.8°,普通の場合19.8±9.5°,速い場合20.3±10.0°であった.多裂筋も同様に見ると24.3±9.6°,23.6±10.7°,24.8±15.0°であった.骨盤傾斜角は脊柱起立筋で遅い場合56.5±16.2°,普通54.1±15.7°,速い52.7±15.0°であり,多裂筋でもほぼ同様であった.FRPの起こる角度は速度による違いを示さなかった.腰椎の可動性と普通の速度での脊柱起立筋のFRPが起こる角度との関係は,FFDよりSchoberの変法との間に高い相関関係(r=0.70,p<0.05)が認められ,腰椎の可動性が高いほどFRPの出現の角度が大きかった.また,多裂筋においても同様の結果が得られた.さらにこの関係は,体幹屈曲速度が変化しても同様であった.
【考察】FRPが生じた時点での腰椎屈曲角度がSchoberの変法と強い相間を認めたことは腰椎の可動性と関連が深いことを示している.また,体幹屈曲速度に依存しないことは,今回の運動速度において腰椎屈曲は同様のリズムで行われていると考えられた.FRPの生じる角度を評価する場合,腰椎の可動性の検査が重要となると思われた.
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© 2004 日本理学療法士協会
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