理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 643
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内部障害系理学療法
壮年期有訴者の活動状況と運動機能の関係
*金子 純一朗黒澤 和生潮見 泰藏中口 和彦石井 博之樋渡 正夫高橋 邦泰丸山 仁司
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キーワード: 運動器, 壮年期, 運動機能
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抄録
【目的】壮年期の身体活動及び運動習慣は,その低下に伴い運動器疾患の増加への原因と考えられている.また,交通・移動手段の発達やパソコンやモニターを使用したデスクワークの増加など歩行を伴う移動機会が減少し,現代人のライフスタイルは活動量の低下となっている.そこで本研究は,「肩こり」や「腰痛」といった運動器に関する有訴者を対象に,「勤務形態」,「運動機能」,「痛み」の関係を検討した.
【対象と方法】本研究は本学倫理委員会が承認し,すべての参加者に説明し,承諾を得た.参加者は就労している壮年期男性48名であった.参加者から整形外科疾患(男性1名)で通院をしていない47名(39±10歳)を対象者とした.対象者は,質問紙にて「勤務形態」,「痛みの部位」について事前に質問紙を留め置き法にて実施した.この回答結果から,頸肩腰に「痛み」を感じている者(有訴者)と「痛み」のない者(壮年期健常者)に分類して運動機能測定を実施した.
 運動機能は長坐位体前屈,上半身の指標としてスクラッチテスト,筋力は頸部及び体幹に対して徒手筋力計(μTas MT-1,アニマ社製)での等尺性筋力測定を実施した.検討事項は「痛み」の影響について分散分析にて解析した.なお,危険率は5%未満を有意とした.
【結果】有訴者37名と壮年期健常者10名の勤務形態について,「坐位時間」と「立位時間」の実態を調査した.その結果,有訴者37名中の約3割(12名)が「5時間以上」の坐位時間であった.そして,約7割(30名)が「立位時間なし」あるいは「1,2時間」の立位時間であり,「坐位時間」の業務が多かった.
「痛み」の有無による影響は,スクラッチテストにおいて有意差が認められた.また,「痛み」の部位を要因とした場合,運動機能に及ぼす影響は,長坐位体前屈において有意差が認められた.また多重比較検定(Fisher’sPLSD)により,「壮年期健常者」と「背部・腰部」群,「背部・腰部」群と「頸部・肩・腰部」群で主効果が認められた.したがって,「痛み」の部位が複数になると長坐位体前屈の減少(壮年期健常者:4.1±7.0cm,有訴者:-1.4±7.0cm)となっていた.
【考察】腰痛や頸部痛により,臨床場面では,筋力や柔軟性といった運動機能低下が生じる.本研究で対象とした壮年期有訴者は疾病にまで至らない「疾病予備群」と捉え,その運動機能の実態について検討した.その結果,壮年期における有訴者は,上部体幹の柔軟性を示すスクラッチテストによる機能低下が認められ,筋力への影響は認められなかった.このことから,壮年期有訴者は,「痛み」により上部体幹の柔軟性が低下し,頸部や腰部といった複数の部位に及ぶと長坐位体前屈といった全身の柔軟性に影響を及ぼすものと考えられた.
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© 2004 日本理学療法士協会
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