理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 645
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内部障害系理学療法
Lung Volume Reduction Surgeryの術前における運動耐容能評価と高強度負荷トレーニングの有用性
*入江 将考中西 良一西川 仁野村 秀幸江西 一成
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抄録
【緒言】重症肺気腫症に対するLung Volume Reduction Surgery(LVRS)は、適応患者がhigh risk群であるため術前準備・周術期管理が重要である。特に術前呼吸リハビリテーション(呼吸リハ)は、患者の予備能を最大限に引き上げ、耐術能を向上させ術後肺合併症を予防させる為に不可欠である。今回、LVRSの術前に高強度負荷の全身持久力トレーニングを実施し、その効果を検討したので報告する。
【対象】1999年9月から2003年10月までに、新小倉病院で両側LVRSを施行された慢性肺気腫患者18名(男性16名、女性2名、平均年齢67.4±6.5歳)を対象とした。MRC息切れスケールは、グレード2:4名、グレード3:10名、グレード4:4名で、GOLDの重症度分類はステージ1:3名、ステージ2:12名、ステージ3:3名であった。術式は胸骨正中切開下LVRS:11名、胸腔鏡下LVRS:7名であった。
【方法】術前呼吸リハは入院日から手術前日まで行った。トレッドミルによる全身持久力トレーニングは、時間:30分間/日、頻度:5回/週、強度:修正Borgスケール4から6の設定とした。負荷量は漸増させることを原則とし、desaturationを呈す症例には酸素吸入を行って至適運動強度を維持させた。入院時と手術前日に6分間歩行試験と、トレッドミルを用いた症候限界性漸増運動負荷試験を実施し、6分間歩行距離(6MD)と運動持続時間(TET)・最大仕事量(WRmax)を測定して運動耐容能を評価した。なお、入院時負荷心電図により、運動負荷試験・全身持久力トレーニングによる循環器系のリスクは全例否定されていた。
【結果】呼吸リハの期間は27.7±19.6日間で、持久力トレーニングに伴う事故や合併症を起こすことなく、全例が呼吸リハを完遂し予定通りの術式が施行された。運動耐容能に関しては(呼吸リハ前→後)、6MD:415.6±83.51m→451.1±66.02m、TET:711.7±265.76sec→832.9±278.10sec、WRmax:6.2±2.33METs→7.49±2.61METsと、全項目において有意な改善を認めた(p<0.05)。
【考察】胸部手術例の術後肺合併症のリスクファクターを検討したSmithらの報告では、術前評価として肺機能よりも術前の運動耐容能の方が重要であるとしている。従って、LVRSにおける呼吸リハでは、患者の運動耐容能を評価し、それを可及的に向上させることが肝要になる。今回、修正Borgスケールによる負荷設定と運動中の酸素吸入によって、高強度負荷での持久力トレーニングを積極的に行った。結果、患者の運動耐容能は有意に改善し、予備能の向上を得た。
【結語】LVRSの術前における運動耐容能の評価と高強度負荷持久力トレーニングは有用であった。
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© 2004 日本理学療法士協会
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