理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 646
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内部障害系理学療法
非侵襲的換気療法の運動療法への応用
使用上の問題点の検討
*上坂 裕充西野 學大浦 渉浅利 香谷口 尚美吉本 真樹守山 知子池田 聡恵吉村 育恵片田 圭一内山 伸治
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抄録
【目的】運動療法中に非侵襲的換気療法(以下NIPPV)にて換気補助を行う事の有効性を検証する前段階として、健常成人に対してNIPPV使用下での漸増運動負荷試験を行い、問題点を検討する。
【対象】22~29歳の健常人7名。男性3名、女性4名、平均年齢25.4±2.7歳。
【方法】自転車エルゴメーターで漸増運動負荷(男性20W/min 女性15W/min)を行い、通常時(通常群)と換気補助下に行った場合(NIPPV群)とでデータを比較した。換気補助はTEIJIN成人用マスク式人工呼吸器(NIPネーザルA)を使用し、SモードIPAP圧6cmH2O、EPAP圧2cmH2Oにて、呼気ガス分析装置(MINATO社AE300S)のフェイスマスクに接続して行った。回路には呼気ポートを作成し、呼気ポートからのリーク量はSモード同設定圧で約32~40L/分であった。データは、
1)症候性限界値での最大運動負荷量及び運動持続時間
2)漸増運動負荷中の分時換気量と吸入気酸素濃度の変化
3)両群間での血圧・心拍数
を比較した。尚、統計学的検定はT検定を使用した。
【結果】
1)平均最大負荷量(以下:通常群vsNIPPV群)は169.5±60vs139.8±44(W)、平均運動継続時間は8.8±1.9vs7.1±1.3(分)であり、負荷量・時間共にNIPPV使用群で有意に低下した。(p<0.01)
2)NIPPV使用群では、7名の被検者全員で運動終了時の吸入気酸素濃度が低下していた。吸入気酸素濃度が低下し始める時間は分時換気量が回路のリーク量を上回る運動強度時とほぼ一致しており、その運動強度は4名が高強度(最高酸素摂取量の60~80%強度の間)、3名が中等度強度(同40~60%強度の間)であり、低強度(同40%強度以下)の運動では全例が吸入気酸素濃度約21%を持続していた。
3)両群間で同運動強度時の血圧・心拍数を比較したところ、有意差は得られなかった。
【考察】NIPPV使用下での運動は、急性効果として運動中の呼吸困難感と運動耐容能の改善効果が報告されているが、今回のデータではNIPPV使用群が運動継続時間・最大運動強度ともに有意に低下した。主な原因は換気量増大に伴う吸入気酸素濃度の低下であった。NIPPVは開放系の回路であるため、一定量の呼気リークを前提とした設定となっているが、運動時に分時換気量が呼気リーク量を上回ると、しだいに呼気ガスとの混合により吸入気酸素濃度が低下するという問題点がある。その為、現時点でのNIPPV使用下での運動療法は、低負荷でのトレーニングが望ましいと思われた。病棟でNIPPV補助下に離床を促すなどの低負荷での運動療法としては有益であるが、その際、酸素流量を若干増やす事や、呼気ポートからのリークの量を増やすなどの配慮が必要であると考える。今後強い運動負荷時に応用する場合は、吸入気酸素濃度が把握できるものや、呼気ガスの再呼吸を防ぐための呼気弁が付いたマスクなど、運動療法の為のNIPPVを改良する必要があると思われた。
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© 2004 日本理学療法士協会
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