理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 672
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内部障害系理学療法
大動脈瘤人工血管置換術後運動療法の規定因子
*渡辺 敏井澤 和大小林 亨松澤 智美横山 仁志笠原 美千代大宮 一人
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抄録
【目的】大動脈瘤に対する人工血管置換術は,ステントグラフトの開発や脳分離補助循環の導入など,周術期の合併症予防が検討されている。またクリティカルパスの導入で,術後合併症が予防され早期退院が可能になってきた。しかし本症例についての運動療法実施報告は少なく,術後運動療法の進行規定因子が十分に検討されているとは言えない。そこで本症例の術後進行状況と進行規定因子について検討したので報告する。
【方法】平成15年1月から同10月の間に当院で治療を受けた,大動脈瘤人工血管置換術後患者34例を対象とした。対象の内訳は解離性大動脈瘤7例,胸部動脈瘤4例,腹部動脈瘤23例,男性27例女性7例,平均年齢69.29±10.54歳であった。前述の対象について手術の経緯,運動療法進行状況と進行規定因子をカルテより後方視的に調査した。
【結果】手術に至る経緯は9例が上行大動脈解離や動脈瘤破裂による緊急手術であり,25例が瘤拡大による予定手術であった。進行状況としては,解離性大動脈瘤例で抜管5.8±3.2日,椅子座位10.6±5.3日,トイレ歩行19.3±6.9日,退院44.9±18.1日であり,進行規定因子は残存解離による運動強度抑制3例,胸水貯留による酸素化障害1例,脳梗塞による失語症1例であった。胸部動脈瘤例では抜管1.7±2.1日,椅子座位5.0±1.0日,トイレ歩行10.3±4.9日,退院31.7±20.6日であり,進行規定因子は全例胸水貯留による酸素化障害であった。腹部動脈瘤例は抜管0.7±3.4日,椅子座位3.0±1.1日,トイレ歩行4.4±1.5日,退院22.6±18.9日であり,進行規定因子は新たな解離による運動強度抑制1例,消化器症状3例であった。
【考察】解離性大動脈瘤例は全例スタンフォードA型で緊急手術を行っており,術後の全身管理や合併症治療のため抜管までの期間を要するが,運動強度増加には下行大動脈の残存解離が規定因子であり,トイレ歩行や退院準備はそれぞれ2週以降3週以降とほぼ予定通りの実施であった。胸部動脈瘤例は開胸手術による胸水貯留が胸腔ドレーンの抜去時期や酸素化を左右しており,トイレ歩行開始を規定していた。腹部動脈瘤例は下痢や経口摂取開始の遅れと言った消化器症状が退院の規定因子であった。しかし生命予後を重視した手術例では抜管やその後の誤嚥性肺炎が問題となる例も経験しており,術前機能も一つの規定因子であると考えられた。
【まとめ】大動脈瘤人工血管置換術の術後進行状況と進行規定因子について検討した。今回検討した症例はほぼ術前から予測した進行状況であり,病態管理上の規定因子に進行度が依存していた。
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© 2004 日本理学療法士協会
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