理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 177
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生活環境支援系理学療法
地域リハビリテーション支援活動における新たな取り組みについて
*小川 昌小豆澤 素子
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抄録
【はじめに】当院は平成13年度より、出雲地域における地域リハビリテーション支援センターとして指名されている。主な役割は、地域内の保健福祉事業への関わりや施設への指導である。今回、本年度よりの試みとして双方向性の指導を実施した。そのことについて若干の知見を得たのでここに報告する。
【対象と方法】対象は、本年度施設訪問し指導を行った3施設(内訳:特別養護老人ホーム2施設、ヘルパーステーション1施設)。方法は、施設訪問し、入所者に関することに対しスタッフへの指導を行った。指導内容は関節可動域訓練、ポジショニング、トランスファーなどであった。その場での指導に付け加え、後日詳細を記した書類を送付し、それに対して施設側より意見をいただいた。
【結果と考察】昨年までも同様に施設に赴き、指導を行ってきた。しかし、施設においてスタッフに対し指導を行うものの、その場での指導のみで終了してしまうことが大半であった。その問題として、専門職(理学療法士)が勤務していない施設において、専門的な見地から意見を述べ、指導することの重要性は認識されるものの、いわゆる「その場しのぎ」になり、結果的に指導した内容がその後の施設スタッフや入所者自身に生かされていると思われることは少なかった。これは、一方的な指導のため十分な理解が施設側でなされていなかったのではないかと考えた。これら反省点を踏まえたうえで、今年度より双方向性の指導を行った。具体的には、訪問時にスタッフに対しての指導を行った際に、注意点や詳しく説明すべき点を記載し、後日それについて詳細を記した書類を施設側に送付するという方法をとった。また、送付後に施設より質問等がある場合には電話などで随時連絡を取れるような体制を作った。これらの方法を行った結果、施設側からは好意的な意見が多く、多くのスタッフへ知らせることが可能になったなどの意見をいただいた。
【今後の展望】出雲地域において、理学療法士が勤務する病院や施設が増加する傾向にある。しかし、山間部などでは不在のところが多い。現在行われている地域リハビリテーション支援事業ではそういった不在の施設などへ訪問し指導していく活動が中心になっている。専門的な見地から指導していくことはもちろんであるが、少ない機会の中でより詳しく指導し、理解していってもらい、入所者の方々の普段の生活の中で指導した内容が生かされていければと考えている。
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© 2004 日本理学療法士協会
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