理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 472
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物理療法
不動によるラット下腿三頭筋の廃用性筋萎縮に対する超音波の影響
*荒木 景子岡本 眞須美中塚 祥太山崎 摩耶中野 治郎沖田 実
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抄録
【目的】 疼痛緩和や関節可動域の獲得を目的に用いられる物理療法の一つに超音波(以下、US)があるが、先行研究ではUSの微細振動は各種組織内のFibroblast growth factor(以下、FGF)などの成長因子の発現を促すと報告されている。そして、成長因子の発現は筋肥大の機序に関与しているとされ、これらの知見を参考にするとUSは筋萎縮に対しても効果が期待できる。そこで今回われわれは、不動中のラット下腿三頭筋に対してUSを照射し、廃用性筋萎縮におよぼす影響を検討した。
【方法】 予備実験として、8週齢のWistar系雄ラット10匹を5匹ずつUS群とプラセボ群に分け、US照射による下腿三頭筋と直腸の温度変化を調べた。具体的には、麻酔下でUS群の下腿三頭筋に1 MHz、1 Watt/cm 2 の条件で15分間、回転法でUS(伊藤超短波社製)を照射し、筋内温度と直腸温の経時的変化を熱電対温度計(UNIQUE MEDICAL社製)で測定した。なお、プラセボ群にはUSを出力しない以外は全て同様の処置を行い、温度変化を測定した。次に、8週齢のWistar系雄ラット15匹を対照群5匹と両側足関節を最大底屈位で2週間ギプス固定する実験群10匹に分け、実験群は5匹ずつUS群とプラセボ群に分けた。US群には麻酔下で週5回の頻度でギプスを外し、予備実験と同様な方法でUSを照射し、照射後は再度ギプス固定し、飼育した。なお、プラセボ群にはUSを出力しない以外は全て同様の処置を行った。2週間の実験期間終了後は、ヒラメ筋と腓腹筋内側頭の凍結横断切片をATPase染色し、筋線維タイプ別にその直径を計測した。また、Heat shock protein 70(HSP 70)抗体とFGF抗体を用いた免疫組織化学染色を実施した。
【結果】 予備実験の結果、US群の筋内温度はUS照射を開始して約5分後に40°Cに達し、終了まで一定していた。一方、プラセボ群の筋内温度、ならびにUS群とプラセボ群の直腸温には変化は認められなかった。次に、ヒラメ筋、腓腹筋の各筋線維タイプの平均筋線維直径を比較すると対照群に比べ実験群の2群は有意に小さく、実験群間ではUS群がプラセボ群より有意に大きかった。そして、US群にはFGFの発現増加を認めたが、HSP 70の発現増加は認められなかった。
【考察】 今回のUS照射は温熱効果と非温熱効果の両方が期待できるが、US群にはHSP 70の発現増加は認めず、筋線維に対する温熱の影響は少ないと考えられる。一方、FGFの発現増加は明らかで、USによる筋線維萎縮の進行抑制効果は微細振動による成長因子の発現が関与していることが示唆された。ただ、筋萎縮に対するUSの効果を明確にするには、今後も照射強度、照射率、照射時間、周波数など、様々な条件設定について検討する必要があろう。
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© 2004 日本理学療法士協会
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