抄録
【目的】整形疾患患者の主訴に疼痛が多い。疼痛は器質的障害のみならず精神心理的障害に及ぶことがある。臨床の場で可及的早期に疼痛の改善が必要である。近年、光線療法の効果が報告されている。中でも直線偏光近赤外線照射SUPER LIZER(HA2200東京医研、以下SL)は、生体深達度の高い波長帯であり、最高2200mWの出力が可能である。本研究の目的は、1ヶ月以上の保存療法が無効な疼痛を有する整形疾患患者にSL療法をPain Relief Score(以下PRS)で評価し、臨床的効果を検討することである。
【対象と方法】2003年4月から同年10月までの間、1ヶ月間以上の保存療法が無効な疼痛を主訴とする患者70名に対してSL療法を実施した。疾患が頚椎症29名、変形性腰椎症25名、変形性膝関節症20名の計74名であった。照射時間が4秒照射、2秒休止で5分間実施した。照射部位がトリガーポイントに実施した。頻度が1週間に3回であった。検討期間が3ヶ月間であった。判定基準が治療開始時の疼痛程度を10とし、照射治療でどのように変化したかを数字で表すPRSで示した。PRSはそれぞれ「著効」;0から1まで、「有効」;2から5まで、「微効」;6から8まで、「無効」;9から10まで疼痛が減少したことを表し、「憎悪」;11以上に疼痛が増加とした。さらに罹病期間、照射後の有効持続時間および満足度についてアンケートした。
【結果】著効が12名。有効が38名。微効が18名。無効が6名。憎悪が0名であった。疾患別では、頚椎症および変形性腰椎症で有効以上が70%を超えたが変形性膝関節症では30%程度であった。罹病期間が短いほど効果持続時間、PRSおよび満足度で有効な傾向であった。さらに頚椎症、変形性腰椎症および変形性膝関節症の順でPRSおよび満足度が低い傾向であった。
【考察】SL療法は、赤外線療法の利点である温熱療法効果と低出力レーザー療法の利点である光線療法の効果を持ち、疼痛緩和と組織修復の促進を同時に期待できる治療法である。光電気反応や光刺激反応などの光作用による生体反応であり、組織傷害を惹起せずに深部に到達し得るため疼痛疾患の治療に使用される。直接的および間接的に血流増大効果と細胞機能正常化作用による治療効果が認められると考えられる。今回の検討で、疾患間に差が出た原因は、変形性膝関節症の症状は多岐にわたることや、器質的変化が強いことが考えられた。しかしながら、頚椎症でも症状の改善が全く認められなかった症例もいることから罹病期間についても検討したところ、効果判定に影響しているものと考えられた。今回の症例では、罹病期間が短くさらにVAS値と継時的変化の関係でより早期に変化の認められた症例が改善傾向であった。
【まとめ】疼痛を主訴とする整形外科疾患に直線偏光近赤外線療法を早期に実施することがより効果的である。