理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 613
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物理療法
末梢性顔面神経麻痺に対する直線偏光近赤外線照射の試み(第1報)
*中島 瞳松井 信也鎌田 充教中野 美奈子今井 崇金井 昭博田村 耕成西松 輝高
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抄録
【はじめに】直線偏光近赤外線治療器SUPER LIZER(HA―550S、東京医研製、以下SL)は、近赤外線の輻射熱としての従来的温熱効果のほか、星状神経節近傍への照射による交感神経ブロック様作用がある。SLに関する報告は、疼痛の軽減や褥創治療、星状神経節への照射などが多く、末梢性顔面神経麻痺(以下顔面神経麻痺)に与える効果を述べたものは少ない。顔面神経麻痺の原因として、微小循環障害が考えられており、単純ヘルペスウイルスの関与が指摘されている。そこで今回SL照射による血液循環の促進を目的とし、顔面神経麻痺に対する効果を検討した。
【対象と方法】顔面神経麻痺患者14名(男8名、女6名:15~69歳)とし、マッサージ群7名(A群)とSL+マッサージ群7名(B群)に分けた。SLの照射ポイントは額(眉毛の上縁で正中から2.5~3cm耳側)、下顎(正中より2.5~3cm外側で第2小臼歯の約1cm下方で、オトガイ孔の上)、乳様突起の先端前縁の3点とし、1カ所に5分間照射した。照射間隔はon2秒、off3秒とし、出力は60%、レンズユニットはSGタイプレンズユニットとした。これを1日1回、2週間実施した。顔面神経麻痺の評価には顔面神経麻痺スコア(40点法)を使用し、初期評価、退院時の最終評価の2回行った。また、B群においてはSL後の自覚症状を尋ねた。
【結果】顔面神経麻痺スコアでは、A群で平均9.14点、B群で平均15.71点と両群に改善がみられた。両群間の治療効果に有意差(p<0.05)を認め、B群で有意に改善した。自覚症状として7人中5人が「気持ちよくて、眠くなる。」2人が「顔全体が温かくなる。」であった。
【考察】A・B群共に麻痺の改善が見られ、特にB群で有意に改善を認めた。これはSLの効果である血管拡張・血流改善により、顔面筋の血流が改善したためと考えられる。また、A群においても麻痺の改善が認められたことからマッサージと併用することで相乗効果が得られたのではないかと考えられる。
 SL照射後の自覚症状では、気持ちがいいという意見が多かった。これは文献で報告されている、交感神経系抑制作用によるリラクゼーション効果と考える。また、近赤外線により顔全体の体感温度が上昇したことで、治療を受けているという患者の満足感が得られた。以上のことから、顔面神経麻痺に対するSL照射の、有効性が示唆された。
 しかし、今回は症例数が14例と少なかったため、今後症例数を増やし、より信頼性の高い効果判定を行っていきたい。また、SLの出力・照射間隔・照射時間についてはまだ確立されていないため、今後検討の必要がある。
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© 2004 日本理学療法士協会
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