理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 453
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理学療法基礎系
体幹側屈運動についての一考察
―坐圧と骨盤挙上時のPSISの動きの比較―
*安里 安博
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キーワード: 坐圧, PSIS, 骨盤挙上
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抄録

【目的】臨床において坐位姿勢を評価する際、坐圧に視点を置いてみると偏った圧がかかっていることが観察される。例えば、坐圧が左側に位置する場合、腰椎右側屈、骨盤左側下制位になるものと考えられる。非対称的な坐圧は腰椎側屈といった動きにおいても異なってくるとものと推測される。そこで今回、端坐位での骨盤挙上時におけるPSISの動きと坐圧との比較より、腰椎の動きについて考察したので以下に報告する。
【対象】被検者は,成人男女4名(男性3名,女性1名,年齢22±3歳,身長168.7±11.9cm,体重57.6±5.6kg)であった。
【方法】坐圧は、端坐位(足底接地)にて、セラピストが被検者の胸骨体と第7~9胸椎棘突起を徒手にて他動的に動かし、最も楽に保持できる坐位を探りその際の坐徒手の位置が近い殿部側を坐圧が高い方と判断した。(同時に被検者の主観も確認)坐圧は坐面を正中矢状断の2分割(左右)に分け判定した。骨盤挙上運動の比較は両側PSISにマーカーを配付しデジタルカメラで後方より撮影し、静止画をコンピューターに取り込んで任意の垂線と水平線を作り、それを基準として前額面上でのPSISの動きを比較した。
【結果】坐圧が左側に位置するものは4例であった。前額面上では圧がかかっている反対側の骨盤挙上ではPSISは横軸へ動き、圧がかかっていない反対側の骨盤挙上ではPSISは縦軸へ動いた。
【考察】今回の被検者はすべて左側に坐圧が位置しているため、坐圧側へ腰椎が凸となる腰椎右側屈・骨盤左側下制位の姿勢が予想される。前額面上でのPSISの動きは、圧がかかっている反対側の骨盤挙上ではPSISは横軸へ動き、圧がかかっていない反対側の骨盤挙上ではPSISは縦軸へ動いた。これらの動きは、運動開始前の坐位姿勢において坐圧側へ腰椎は右側屈位にあるため、支持面を広げる動きと腰椎右側屈による両方の動きにより、PSISが横へ動いたと解釈した。反対側では、腰椎左側屈による縦へのPSISの動きと考えられた。よって、今回の前額面でのPSISの動きから腰椎側屈を考察すると、坐圧がかかっていない反対側の骨盤挙上時に腰椎は側屈へ可動しやすいと推測される。勿論、今回の結果は、股関節外旋や腰部などの隣接関節での動きも影響すると考えられるため、今後の課題としたい。

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© 2005 日本理学療法士協会
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