理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 463
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理学療法基礎系
触覚刺激-運動反応に関与する大脳皮質領域(第2報)
―機能的磁気共鳴画像(fMRI)による検討―
*小笹 佳史沼田 憲治泰羅 雅登土師 知己大野 範夫
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キーワード: 触覚刺激, 刺激運動, fMRI
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抄録

【目的】第39回日本理学療法学術大会において、足部に対する触覚刺激-運動反応に関する脳内の内的過程を調査し、触覚・運動準備に関与する大脳皮質領野が二次体性感覚野、一次運動野、補足運動野であることを示唆した。さらに今回、手部への触覚刺激を合図に足部の運動を行ない、その脳内活動を調査した。そして前回の足部刺激-足部運動の調査と今回の手部刺激-足部運動の調査を合わせて、触刺激による運動で賦活する大脳皮質領域を検討した。本研究は、触覚刺激とそれに対する足部の運動反応課題時の機能的磁気共鳴画像(fMRI)から、触覚刺激-運動反応に関与する皮質活動について検討することである。
【方法】対象:右利き健常男子5名(平均25.0歳)。なお実験に先立ち被験者全員に日本大学倫理委員会規定に基づき文書による同意を得た。
課題:被験者は開眼安静臥位とし、運動は足部に統一し、刺激を手部と足部に分けそれぞれ施行した。手部刺激と足部刺激の課題は日時を変え施行した。以下のような課題を左右それぞれ行った。(1)一側手背触刺激を合図に同側足趾背屈自動運動。(2)一側手背触刺激を合図に反対側足趾背屈自動運動。(3)触覚刺激の合図無しに足趾背屈自動運動。(4)手背触刺激のみ。足部刺激足部運動も同様に刺激部位を足背にし(1)から(4)の課題を左右それぞれ行った。(1)と(2)と(4)の触刺激は3秒、4秒、5秒の間隔をランダムに選択し行なった。各課題とも課題実行28秒間と安静20秒間を1ブロックとし、4ブロック繰り返した。課題は被験者ごとにランダムに選択した順に行なった。
fMRI撮像:撮像にはSiemens Symphony1.5Tを使用した。被験者が課題を行なっている間、EPI-BOLD法(TR:4s、TE:50ms、flip angle:90°)にてslice No.40枚の横断画像(FOV:192mm、Matrix:64×64、slice thickness:3mm)を撮像した。
fMRIデーター解析:SPM99を使用した。動きの補正、標準化ののちsmoothingを行なった。統計処理の過程については、被験者5名のグループ解析で、有意レベルp<0.01(corrected)によりt-検定を行なった。
【結果と考察】課題(3)では対側の一次運動野、また左自動運動では右の縁上回で有意に賦活が認められ、課題(4)も含めて二次体性感覚野の賦活は認められなかった。しかし、手刺激、足刺激共に(1)と(2)では二次体性感覚野の賦活が有意に認められた。それは、左右どちらの運動においても右側で賦活する傾向が認められた。この結果から触覚刺激-運動を行なうとき、二次体性感覚野が刺激から運動へ至る一連の過程で、明らかに活動を必要とする領野であると考える。これは、刺激-運動において刺激情報を入力しそれを運動に変換する脳内システムの一部であると考える。

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© 2005 日本理学療法士協会
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