理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 737
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理学療法基礎系
虚弱高齢者における歩行のばらつきと転倒経験の有無の関係
*角田 賢史柴 喜崇新井 智之安原 健太大渕 修一
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抄録
【はじめに】転倒を予測し転倒予防に努めることは、高齢者の日常生活の活動性低下を防ぐ上からも重要である。先行研究では歩行のばらつきが転倒を予測するとされているが、対象は身体機能が高い地域在住高齢者であり、さらに測定は6分間連続歩行という方法で行っている。しかしこの方法では身体機能が低下している虚弱高齢者の歩行のばらつきを測定することは困難であり、本来転倒が多い虚弱高齢者が含まれていない可能性がある。そこで本研究の目的は、虚弱高齢者における過去1年間の転倒経験の有無が歩行のばらつきに与える影響を明らかにすることである。
【参加者】歩行可能な65歳以上の施設入所・地域在住高齢者45名(男性14名、女性31名)、平均年齢81.7±6.5歳、過去1年間の転倒経験有14名(31%)であった。除外基準は認知機能中等度以上の低下を認めたもの(MMSE16点以下)、神経性疾患を有しているもの、著名な整形外科的疾患および神経症状があるものとした。
【方法】虚弱高齢者の分類は、最大歩行速度が80m/分以下またはIADL障害を認めるもの(老研式活動指標のIADL項目において1つでも“いいえ”の項目がある)とした。身体機能評価として開眼片脚立ち(以下OLS)、Functional Reach(以下FR)、Timed Up and Go Test(以下TUG)、膝関節伸展筋力(以下筋力)を評価した。歩行のばらつきの指標としては1歩行周期時間を用いた。快適歩行中の参加者の踵上部に加速度計を取り付け、得られた加速度データから歩き始めと終わりの3歩を除き1歩行周期時間を切り出した。1歩行周期時間のデータから変動係数(CV値:標準偏差/平均×100)を算出し、転倒経験有・無の2群間で変動係数を比較した。統計処理はt検定(Welch法)を用いていった(p<0.05)。
【結果】過去1年間の転倒経験の有無において変動係数、身体機能評価項目の間に有意差は認められなかった。詳細は以下の如くである(転倒経験有vs無)。変動係数(4.14±1.62 vs 3.07±1.58(%),p=.051)、OLS(8.46±15.20 vs 7.70±12.74(sec),p=.870)、FR(25.3±7.18 vs 21.7±9.62(cm),p=.167)、TUG(16.78±13.67 vs 52.35±195.74(sec),p=.322)、筋力(148±56.56 vs 166±62.66(N),p=.322)。
【考察】虚弱高齢者における転倒経験の有無は歩行のばらつきや身体機能に影響を与えなかった。しかし歩行のばらつきに関しては、症例数が少なかったために統計的な有意差が得られなかった可能性がある(第1の過誤)。そのため今後、症例数を増やし、虚弱高齢者における転倒が歩行のばらつきに与える影響を明らかにする必要がある。
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© 2005 日本理学療法士協会
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