理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 738
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理学療法基礎系
集中歩行訓練による歩行能力学習課程について(不全頸髄損傷者)
*加藤 正樹及部 珠紀池上 久美子藤野 宏紀才藤 栄一
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抄録
【はじめに】
脊髄損傷のうち、胸髄損傷等に比べ頸髄損傷の割合は多い。しかし、不全頸髄損傷のリハ治療成績は明瞭でなく客観的データが少ない。さらに、頸髄損傷の歩行についてはあまり論じられていないのが現状である。今回、慢性期頸髄損傷者1例に集中歩行訓練により歩行能力の改善を得た例を経験したのでその内容を報告する。

【対象と方法】
対象はC5不全頸髄損傷者1名とした。現病歴として、2003年1月事故にて受傷しC5頚髄損傷となり、受傷より約9ヶ月経過した時点で当院へ転院された。転院時、ASIA motor R25 L25、Frankel scale D、車椅子上ADL修正自立レベル、立位、歩行に関しては監視レベルで可能な状態であった。歩行能力は、両SLB、両四脚杖を使用し10m歩行33歩、64秒、歩行率31歩/分、連続歩行距離100m(PCI 1.6)であった。この症例に約3ヶ月間の集中歩行訓練(平地及び懸垂トレッドミル訓練)、床上動作訓練、モーターポイントブロック(キシロカインandフェノール)等の治療を行い、その間の歩行能力学習過程について歩行各指標を用いて測定した。懸垂トレッドミル訓練としては、1日3分3セット、体重比15%にて免荷し0.5km/hの速度から開始した。評価内容としては、初期から最終までの間毎週10m歩行速度及び歩容の測定を行い、初期評価、中間評価(1ヶ月後)、最終評価(2ヶ月後)の3回、床反力測定(トレッドミル上), 三次元動作解析(トレッドミル上)を行い、経過を分析した。

【結果と考察】
歩行能力の変化として、最終評価時では10m歩行28歩、32秒、歩行率53歩/分となり、すべての歩行因子において改善が認められた。また、耐久性に関しても連続歩行距離が180m(PCI 0.4)となった。初期から1ヶ月間は主に歩行率の増加、左右方向への重心移動距離の変化、下肢振り出しのタイミングの変化、下肢振り出し時の体幹代償の軽減等が認められた。1ヶ月後からは重心移動距離やタイミングの変化等は少なく、歩行率及び歩幅の増加等が認められた。したがって、学習過程としては、初期から中間にかけては相対タイミングの変化がおこり運動パターンの学習が行われ、その後1ヶ月間主に歩行率及び歩幅等のパラメーターの学習が行われたと示唆された。今後さらに症例数を増やし集中歩行訓練による歩行能力学習過程について検討していきたい。
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© 2005 日本理学療法士協会
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