理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1023
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理学療法基礎系
大腰筋のストレッチングが立位姿勢に及ぼす影響
―ストレッチングの即時効果と持続効果―
*加古 誠人竹井 仁
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抄録
【目的】大腰筋は身体重心を後上方から前下方に走行し、股関節屈曲筋、腰椎側屈筋、腰椎安定化筋、股関節安定化筋、腰椎前弯筋としての作用があるとされている。この解剖学的特徴から大腰筋が立位姿勢を保持し、安定化させる作用に大きく関与すると考えられる。今回、大腰筋のストレッチング直後と、1週間ストレッチング継続が静的立位姿勢に及ぼす影響について検討したので報告する。
【対象】被験者は、実験の承諾を得た健常男性9名。平均年齢は21.8(19-24)歳、身長と体重の平均値±標準偏差は、170.2±3.9cm、64.1±7.7kg。
【方法】測定には重心動揺計GS-11(アニマ社製)を用いた。上前腸骨棘、上後腸骨棘をランドマークとし、立位姿勢を矢状面よりデジタルカメラで撮影し、骨盤傾斜角度を測定した。また、Spinal Mouse(インデックス社製)を用いて腰椎椎間関節の角度を測定した。以上の項目についてストレッチング前(以下pre)、ストレッチング直後(以下post)、ストレッチング1週間継続後(以下post1w)にそれぞれ測定した。右大腰筋に対するストレッチングの方法は右片膝立ちで、体幹を左側屈させ、骨盤後傾位で右股関節屈曲の等尺性収縮を5秒間5回繰り返した。その後、1分間持続的伸張を行い、骨盤後傾の自動運動を5回行った。このストレッチングを左大腰筋に対しても行った。ストレッチングは両側大腰筋に対し1日3セットを1週間行わせた。統計処理にはSPSS(ver.12)を用い、分散分析と多重比較検定(LSD法)を実施し、有意水準は5%未満とした。
【結果】外周面積[cm2]はpre:3.12、post:2.85、post1w:2.56であり、pre-post1w間に有意差を認めた。L3/L4椎間関節角度[°]はpre:-7.66、post:-7.11、post1w:-6.00であり、pre-post1w間に有意傾向を認めた。L4/L5椎間関節角度[°]はpre:-6.88、post:-5.66、post1w:-4であり、pre-post1wに有意差を認めた。重心動揺軌跡長[cm]、単位軌跡長[cm/s]、骨盤傾斜角度[°]は各条件間に有意差は認めなかった。
【考察】ストレッチング効果は、直後では十分な効果は得られないが、pre-post1w間にL3/L4、L4/L5に腰椎後弯が認められ、外周面積が減少したことから、1週間継続することにより筋の伸張効果がより高まると考える。重心動揺軌跡長、単位軌跡長には変化がなかったが、外周面積が減少したことから、前後左右方向の動揺範囲の狭小化に影響を与えたと考える。これは、大腰筋がストレッチングされることにより、腰椎前弯が減少し、腹筋群や大殿筋がより効果的に活動可能となり、重心動揺の狭小化につながったと考える。
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© 2005 日本理学療法士協会
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