理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1074
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理学療法基礎系
外来理学療法目標に対する患者と理学療法士の認識の相違を測定するための予備調査
―外来理学療法における脳卒中後遺症者の障害理解と生活再構築に向けて―
*上岡 裕美子吉野 貴子大橋 ゆかり
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抄録
【目的】吉野(2003)の調査によると,脳卒中後遺症者(以下患者)を対象とした外来理学療法の長期化が問題となっており,その背景として,患者の多くが外来理学療法に運動麻痺や動作の回復を期待している一方,理学療法士(PT)は回復よりも維持や定期的評価を主な目的と考えており,両者に相違があることが指摘された。この調査は患者とPTのペアリングをしていないので,今回は,両者をペアリングし目標に対する認識の相違を数量的に測定するために,調査に用いる外来理学療法目標を抽出し予備調査を実施した。
【方法と結果】<外来理学療法目標の抽出>最初に,外来リハビリテーション担当専門職18名(PT5,医師3,看護師2,作業療法士4,言語聴覚士1,臨床心理士2,ソーシャルワーカー1)を対象としたアンケート調査から,外来リハビリテーション目標94項目を得た。次いで,PT5名を対象に,94項目の内理学療法目標・目的となり得る項目を選択してもらった結果,3名(60%)以上が選択した項目は91項目であった。これに患者5名から得られた外来理学療法目標・目的10項目と,文献から得られた28項目を加え,計129項目を選び出した。最後に,PT3名によるグループKJ法に依って,129項目の中で似通った項目をグループ化した結果,60項目となった。この60項目をWHOの国際生活機能分類(ICF)に基づき参加11項目,活動23項目,心身機能13項目,環境その他13項目の4領域に分類した。更にICF第1レベルまでの分類で合計17の小領域に分類した。<予備調査>得られた外来理学療法目標60項目を用いて,目標に対する患者とPTの認識との相違を数量的に測定することを試みた。因子分析法の一つであるQ技法の一過程であるQ分類を用い,目標60項目を自分の気持ちに最もあてはまる極(+4)から,最もあてはまらない極(-4)まで,正規型の分布をなすように,9段階(+4~-4)に強制分類させた。対象は,患者3名(患者A,B,C)とその担当PT3名とした。分析は,各項目の得点を小領域ごとに合計し,患者と担当PTを比較した。その結果,患者の平均得点が+1以上でかつ担当PTの平均得点が患者より2点以上低かった小領域,すなわち患者は目標と認識しているがPTの目標としての認識は低かった小領域は,患者A,Bでは麻痺や歩行パターンの改善に関する項目,患者Cでは主体性強化に関する項目と家族の障害理解・心理面支援に関する項目であった。
【考察とまとめ】外来理学療法目標60項目はICFの4領域に渡り,幅広く網羅した項目となった。予備調査の結果より,この60項目を用いて,両者の相違を数量的に把握することが可能であることが確認された。今後は,対象者を増やして統計的に検討し,更に患者とPTの認識を近づけるための介入方法を検討していきたい。
【文献】吉野貴子、他:外来理学療法に対する脳卒中後遺症者の期待と理学療法士の意識との相違:理学療法学30(5):296-303:2003
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© 2005 日本理学療法士協会
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