理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1073
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理学療法基礎系
The Full-Time Integrated Treatment(FIT)programの治療効果
*奥山 夕子永井 将太登立 奈美今西 ひろみ烏野 慶谷野 元一園田 茂
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キーワード: FIT program, 脳卒中, 治療効果
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抄録
【目的】The Full-Time Integrated Treatment(以下,FIT) programは,週7日の訓練を基本とし,訓練室一体型病棟でリハビリテーションを行うシステムである.FIT programは,2000年12月より七栗サナトリウムで実行されている. 我々は,FIT programの効果をADLや歩行能力の治療成績,SIAS運動機能の変化で捉え,FIT program開始前のデータとの比較を報告してきた.
 今回は症例数を増やして,FIT programの治療効果のより詳細な検討を行った.
【対象および方法】対象は,2001年4月1日から2004年9月30日までに当院に入退院し,FIT programによる治療を開始された脳卒中患者560名とした.この内,退院までFIT programを完遂できなかった内科,外科的疾患により急変増悪した19名,入院中に再発した13名,訓練拒否を認めた9名,経済的な理由で急遽退院した6名,その他10名を除外した.さらに,典型的な脳卒中片麻痺患者の治療効果を知るため,再発で入院した75名,重篤な併存症があった14名,片麻痺以外の障害を認めた74名,脳卒中以外の脳血管障害5名を除外した.除外される項目が重複する者もあり,最終的な対象者は365名であった.対象者の内訳として,年齢は64.0±11.5歳,性別は男58.6%,女41.4%,発症から当院入院までの期間は46.2±20.9日であった.診断名の内訳は脳梗塞48.2%,脳出血47.7%,くも膜下出血4.1%,麻痺側は右51.5%,左48.5%であった.在院日数は67.6±27.5日,自宅復帰率は75.6%であった.
 治療効果の指標には,ADLを評価するFunctional Independence Measureの運動項目合計点(以下,FIM-M)の変化,退院時FIM-Mから入院時FIM-Mを引いた利得(以下,FIM-M利得),FIM-M利得を在院日数で割ったFIM-M改善率を算出した.さらに入院時FIM-Mにより患者を5群に等分し(低得点から順にA1,A2,A3,A4,A5とする),分散分析,Scheffeの検定を用いて治療効果を検討した.
【結果および考察】FIM-Mは入院時50.0±20.3点,退院時70.6±18.1点であった.FIM-M利得は20.6±11.1点,FIM-M改善率は0.32±0.19点/日であった.
 A1,A2,A3,A4,A5の比較では,FIM-M利得平均は順に21.5点,27.9点,24.5点,15.2点,5.7点であり,A4,A5はA1,A2,A3に比して有意に低かった.FIMの天井効果の影響が考えられ,高ADL群への訓練効果を吟味するためにはFIMより難易度の高い評価法の併用が必要と思われた.平均在院日数は順に88.0日,82.8日,67.2日,53.6日,34.5日,FIM-M改善率は0.24点/日,0.35点/日,0.40点/日,0.33点/日,0.19点/日であり,A2,A3,A4がA1,A5より有意に大きかった.入院時に中等介助の場合にFIT programの効率が高く,重介助の場合には,時間をかけてADLを改善させていることが明らかになった.
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© 2005 日本理学療法士協会
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