理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1086
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理学療法基礎系
坐骨結節の前方及び後方に設置したウェッジが座位姿勢の安定性に及ぼす影響
―机上動作に着目して―
*大熊 仁美太田 圭榊原 加奈竹井 仁
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抄録
【目的】座位における長時間の机上動作により、腰部や肩に痛みを生じるケースがある。これらのケースに対して安定した座位保持の方法が指導できれば、疲労による疼痛の軽減や机上でのワークスペースの拡大が得られる可能性がある。そこで本研究では、坐骨の前方と後方にそれぞれウェッジを設置し、机上動作時の骨盤の安定性及び前方へのリーチ距離の変化を明らかにすることを目的とした。
【方法】対象は実験の承諾を得た健常女性12名。平均年齢は22.1(21-23)歳、身長と体重の平均値±標準偏差は162.8±6.5cm、51.3±4.0kg。測定は背もたれのない椅子上に重心動揺解析システム(GS-11、アニマ社製)を設置して行った。座位の条件をA.ウェッジなし、B.坐骨前方にウェッジ設置、C.坐骨後方にウェッジ設置の3条件とした。ウェッジは、縦・横・高さが4cm×10cm×1.7cmのものを左右1つずつ使用した。各条件下で坐骨結節が座面から浮かない範囲で両上肢前方リーチ動作を行い、COP(臀部の圧中心)軌跡を60秒間測定した。方法は肘関節90°屈曲した肢位での静止座位から重心動揺測定を開始し、20秒後に机上でのリーチ動作を開始し、リーチ終了肢位で残りの測定時間を静止させた。得られた軌跡のY軸方向の距離をCOP移動距離とした。上前腸骨棘と上後腸骨棘をランドマークとし、矢状面よりデジタルカメラで撮影し、リーチ開始肢位・終了肢位の骨盤傾斜角を測定し、その差を骨盤運動角とした。両上肢前方リーチ距離は3回測定し平均値を用いた。統計処理はSPSS(ver.12)を使用し、分散分析及び多重比較検定を実施した(有意水準5%)。
【結果】条件ABCにおけるCOP移動距離[cm]の平均値±標準偏差は、それぞれ5.4±1.0、3.2±0.6、6.1±1.1であり、全条件間に有意差を認めた。リーチ距離[cm]は、57.3±7.1、57.9±6.1、66.5±3.8で、条件A-C間と条件B-C間で有意差を認めた。骨盤運動角[°]は、26.4±5.4、21.3±7.9、31.8±9.1であり、条件B-C間に有意差が認められ、条件A-B間と条件A-C間には有意傾向が認められた。条件BのCOPの軌跡は、他条件と比較して左右の動揺が大きかった。
【考察】条件A-B間のリーチ距離に差が出なかった原因として、条件Bでは骨盤前傾運動・COPの前方移動が制限されたためと考える。さらに条件BではCOPの左右の動揺が大きいことから、骨盤の運動を補うために上肢や体幹部での過剰努力が生じていたことが考えられる。条件Cにおけるリーチ距離の増大は、骨盤前傾が促されたことにより、骨盤の前傾運動が行いやすくなったためではないかと考える。これらより、前方より後方にウェッジを入れた座位のほうが安定して動作が行える可能性が示唆された。
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© 2005 日本理学療法士協会
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