理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1087
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理学療法基礎系
足趾把握力と足圧中心の前後方向移動範囲
*三谷 保弘
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抄録
【目的】足趾把握力は姿勢制御に重要な役割を果たすとされ、実際に転倒予防として足趾トレーニングが応用されている。今回、足趾把握力が立位における足圧中心(以下、COP)に及ぼす影響、ならびに足趾把握力とCOPの前後方向移動範囲との関係について検討したので報告する。
【対象と方法】対象は、研究に関する説明を行い同意が得られた健常者31名(男性16名、女性15名)、年齢は22.5±4.4歳である。対象者に、足趾把握力、立位でのCOP(踵点から足長に対する相対比)、COPの前後方向移動範囲(足長比)の測定を行った。足趾把握力の測定は、三輪らにより考案されたものを参考に、デジタル握力計(竹井機器社製)を改良した装置にて測定した。立位でのCOPならびにCOPの前後方向移動範囲は、重心動揺計(アニマ社製GS5500)を用いて測定した。測定肢位は裸足の閉脚立位とし、両上肢は自然下垂とした。なお、COPの前後方向移動範囲の測定については、足底を接地させておくよう指示した。いずれの測定も開眼とし、サンプリング周期20Hz、測定時間30秒にて測定した。上記で得られた結果を基に、足趾把握力と立位でのCOPとの相関、足趾把握力とCOP前後方向移動範囲との相関を求めた。統計学的解析にはピアソンの相関係数を用い、危険率5%を有意水準とした。
【結果】足趾把握力(左右の合計)およびその体重比は、男性が43.1±7.8kg(67.3±11.6%)、女性が24.6±5.3kg(47.1±9.9kg)であった。立位でのCOP(踵点から足長に対する相対比)は男性43.1±6.6%、女性41.3±4.2%であった。COPの前方への最大移動範囲(足長比)は男性が71.8±3.9%、女性が72.0±4.5%、後方への最大移動範囲は男性が21.6±2.6%、女性が21.9±3.1%であった。COPの前後方向移動範囲(足長比)は男性50.2±5.1%、女性50.1±5.0%であった。足趾把握力と立位姿勢でのCOPとの相関、足趾把握力とCOPの前後方向移動範囲との相関については、いずれも相関関係は認められなかった。
【考察】足趾把握力と立位でのCOPに相関関係が認められなかった。これにより、立位でのCOPの規定要因として足趾把握力は直接には関係しないことが示唆された。また、足趾把握力とCOPの前後方向移動範囲にも相関関係が認められなかった。仮説では、COPが前方へ移動するにつれ足趾屈筋群の筋活動が増加するとの報告を基に、足趾把握力が強ければ前足部への荷重が有利となりCOP移動範囲が拡大すると考えたが、今回の結果からは相関が認められなかった。姿勢および姿勢制御には足趾把握力は何らかの関係があると考えられるが、量的なものだけではなく、質的な要素も関与していると考えた。
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© 2005 日本理学療法士協会
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