抄録
【はじめに】身体への過剰なストレスを回避するために、バリエーションのある姿勢制御方法を獲得させることは有効と考えられる。そこで、姿勢制御方法を推察するために立位姿勢と足圧分布の関係を検討した。
【目的】静止立位時の姿勢と足圧の関係を検討すること。
【方法】対象は本研究に同意した健常人16名(男性12名、女性4名)、年齢34.9±10.9歳、身長168.4±7.4cm、体重62.1±8.6kgであった。姿勢の計測は被験者の身体各部位にマーカーを貼付して、踵間10cm、足位自由の静止立位を保持させ、前後左右4方向から全身をデジタルカメラで撮影した。マーカー位置は、左右耳孔・肩峰・上前腸骨棘・上後腸骨棘・大転子・膝関節外側・外果、剣状突起、第8胸椎棘突起とした。撮影画像はポスチャー分析システム(インターリハ社製)を用いて解析を行った。骨盤傾斜角度(矢状面上の上前腸骨棘―上後腸骨棘間線と水平線の角度)、上半身前傾角度(剣状突起―大転子間線と大転子を通る垂線との角度)、上半身後傾角度(第8胸椎棘突起-大転子間線と大転子を通る垂線との角度)、上半身傾斜角度(上半身前傾角度から上半身後傾角度を引いたもの)を算出した。足圧分布は、被験者に静止立位を5秒間保持させ、フットビューシステム(ニッタ社製)を用いて測定した。足圧ピーク値の平均を算出し、足長の2分の1を中央として前方を前足部圧、後方を後足部圧として左右各足の前後比を求めた。静止立位での足圧中心位置は、踵から40~45%の範囲であるとされているため、被験者を前足部圧群(前足部圧43%以上)と後足部圧群(前足部圧42%以下)とに分け、各群で1.骨盤前傾角度と前足部圧、2.骨盤傾斜角度と上半身傾斜角度、3.上半身傾斜角度と前足部圧の関係を検討した。統計処理は相関分析を行った。危険率は5%未満とした。
【結果】1.後足部圧群では骨盤前傾が大きいほど前足部圧は小さかった(r=0.78、p<0.001)。2.前足部圧群では、骨盤前傾が大きいほど上半身前傾は大きかった(r=0.62、p<0.01)。3.前足部圧群では、上半身前傾が大きいと前足部圧は大きかった(r=0.75、p<0.001)。
【考察】前足部圧群は、上半身前傾あるいは骨盤前傾位での骨盤前方変位という姿勢パターンであり、骨盤前傾による上半身前傾傾向があると考えられた。これは足関節での制御が優位であると考えられた。また後足部圧群は、上半身が後傾し骨盤を前方変位させる傾向があった。以上のように足圧中心位置によって骨盤傾斜など姿勢制御方法が異なると考えられたが、前足部圧40~45%の範囲を境界とするのが妥当であるといえる。
【結語】足圧分布と姿勢には深い関係があることが示され、臨床的な評価指標になると考えられた。