理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1103
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理学療法基礎系
利き足の自己認識と簡易決定法の検討
*松尾 奈々村田 伸
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抄録

【目的】利き手についての研究は散見されるが、利き足についての研究は少ない。今回、左右どちらの足を多く使用するかの調査を行い、下肢周径と下肢筋力、片足立ち保持時間を測定し、その関係を検討する。さらに簡易な利き足決定法について検討することを目的とする。
【方法】健常成人25名(男性6名、女性19名、平均年齢21.2±3.16歳)を対象とし、利き手、利き足の自己認識について、また、上下肢ともに左右どちらを多く使用するか(下肢:蹴り足と踏切り足)のアンケートを「右」「左」「どちらともいえない」で回答してもらった。次に、利き手、利き足との相関を検討するため、上肢周径は伸展位上腕骨内側上顆10cm上、下肢周径は背臥位膝関節90°屈曲位で膝関節外側裂隙10cm上を計測した。握力測定はデジタル握力計(日本国竹井機器工業製)にて立位体側下垂位で実施し、大腿四頭筋筋力測定はハンドヘルドダイナモメーター(POWER TRACKII COMMANDER)にて端坐位膝関節90°屈曲位の等尺性最大筋力を測定した。閉眼での片足立ち保持時間は両上肢体側下垂位にて測定した。統計処理は、利き手と非利き手、利き足と非利き足の比較については対応のあるt-検定、測定項目間の関係についてはピアソンの相関係数を用いて比較検討した。
【結果】1.アンケート結果:23名(92%)が利き手を右と答えた。また、利き手を右以外と答えた2名はボールを投げる手が左手だった。下肢について17名(68%)が利き足を右と答えた。また、22名(88%)が蹴り足を右と答えた。蹴り足と踏切り足が同側の者は10名、対側の者は9名いた。
 2.計測結果:利き手と非利き手について測定値を比較すると、上肢周径、握力ともに有意差が認められた。下肢では、蹴り足と非蹴り足、踏切り足と非踏切り足との比較において、すべての項目に有意差は認められなかった。
【考察】今回、下肢周径、大腿四頭筋筋力、閉眼での片足立ち保持時間の計測から、簡易に利き足を決定することができるか否かの検討を行ったが、測定した全ての測定値に有意差は認められなかった。アンケートにより、蹴り足を利き足と認識している人が多かった。踏切り足、蹴り足はそれぞれ、支持足、機能足と表現され、機能的に多く使用される機能足を利き足とされている。これらは対側の下肢であることが多いとされているが、今回の結果では同側の下肢を支持足、機能足として使用している対象者も認められた。以上の結果から、上肢については利き手と認識している方が能力的、形態的にも優れていることが明らかにされたが、下肢については明確にされなかった。これは、下肢機能に左右差がないことで、歩行を中心とした下肢の体重支持機能を効果的にしている結果かもしれない。

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© 2005 日本理学療法士協会
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