理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1105
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理学療法基礎系
高齢者の運動能力評価法としての10m backward歩行
*堀内 賢浦辺 幸夫山本 圭彦坂光 徹彦福原 千史
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抄録
【目的】10m歩行は運動能力評価法として有用で有効に使用されている。backward 歩行はエクササイズとして取り入れることはあっても、評価指標として用いられてはいなかった。我々は、10mbackward 歩行が高齢者の運動能力を反映しているのではないかという予想をたてた。今回は、運動能力評価法としての10mbackward歩行の意味を探ることを目的に、10m歩行と10mbackward 歩行の関連について検討した。

【対象】対象は当院に外来通院している患者54名(男性25名、女性29名)であり本研究の趣旨を説明して同意を得た。平均年齢、身長、体重はそれぞれ77.2±8.4歳、158.9±6.8cm、61.9±12.8kgであった。主な疾患は、変形性膝関節症(18名)、変形性脊椎症(19名)、CVA(15名)であった。なお、対象は全員歩行が自立していた。

【方法】10m歩行、10mbackward歩行ともに、転倒しない範囲で可能な限り速く歩くよう指示し、最短の時間と歩数を測定した。測定は屋内廊下で行い、転倒回避のためにPTが注意を払った。日常に杖・装具などを使用している者は、その状態で測定を行った。
【結果】10m歩行と10mbackward歩行の平均歩行時間と歩数はそれぞれ、10.2±9.8sec、20.1±9.9stepsと25.5±30.8sec、41.4±41.6stepsだった。10m歩行と10m backward歩行の間には正の相関を認めた(歩行時間はr=0.91、p<0.01、歩数はr=0.74、p<0.01)。変形性膝関節症と変形性脊椎症とCVAとで、10m歩行はそれぞれ、10.6sec、7.1sec、12.8secであった。同様に10mbackward歩行では、26.6 sec、14.9 sec、36.5 secであった。10m歩行に対し10mbackward歩行の所要時間は、2.5倍、2.1倍、2.9倍だった。

【考察】10m歩行と10mbackward歩行の間には正の相関が認められ、10mbackward歩行は歩行能力を反映する指標となることが示唆された。また、疾患ごとに10m歩行と10mbackward歩行の所要時間の比率が異なることから、10m歩行と10mbackward歩行両者を測定することで、運動能力評価指標として双方の数値をより有用に活用できるのではないかと考えた。10m歩行と同様に、10mbackward歩行で結果に影響するさまざまな因子があると考えられる。今後、バランス能力や筋力など多方面から検討し、10mbackward歩行の運動能力評価としての位置付けを検証していきたい。
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© 2005 日本理学療法士協会
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