理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1136
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理学療法基礎系
塩酸ブピバカインによる筋傷害に対する寒冷刺激の影響
*田島 理三木 明徳
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抄録
【緒言】寒冷療法は、軟部組織損傷後の急性期管理の一環として損傷の悪化を防ぐことや、損傷に伴う疼痛、腫脹、筋スパズムの軽減などを目的に広く利用されている。前回、我々は骨格筋に選択的傷害を引き起こす塩酸ブピバカイン(以下、BPVC)を用いてマウスの腓腹筋に損傷を起こし、寒冷刺激を与えてその後の炎症、再生過程に及ぼす影響を組織学的に観察した。その結果、寒冷刺激によって損傷部の組織融解、炎症性細胞の浸潤、マクロファージによる変性組織の処理及び筋再生が遅延したことを第43回近畿学会にて報告した。
今回は軟部組織における一次損傷とそれに引き続いて起こる二次損傷に対する寒冷刺激の影響を調べるため、前回と同様の筋傷害モデルを用いて、BPVCによる筋損傷の程度を寒冷群と非寒冷群で定量的に比較した。
【方法】10週齢のddY系雄マウス(平均体重39.22±3.19g)10匹を用いた。ネンブタール麻酔下で両側腓腹筋にBPVC溶液を注入した後、一部のマウスに同麻酔下で寒冷刺激を実施し、寒冷群とした。寒冷刺激は、BPVC注入直後の腓腹筋に小型のクラッシュアイスパックを30分間当てて実施した。一方、寒冷刺激を行わなかったものを非寒冷群とした。損傷された筋線維の同定を容易にするため、各マウスに対しin vivoマーカー(生体染料)として用いられているエバンスブルー溶液をBPVC注入前にあらかじめ腹腔内投与した。なお、投与方法はHamerらの先行研究に従って実施した。
寒冷、非寒冷群共にBPVC注入24時間後に両側腓腹筋を採取し、10μmの準連続横断切片を作成した。これを蛍光顕微鏡にて観察し、BPVC注入部付近を数視野ずつ、デジタルカメラにて撮影した。エバンスブルー染料により、透過性を有する筋線維は蛍光を発するので、これを損傷筋線維とみなした。寒冷、非寒冷群の比較を行うため、各視野における損傷筋、非損傷筋線維数をカウントし、全筋線維数のうち損傷筋線維数の割合をt-testにて検討した。
【結果】BPVC注入24時間後では、両群共に赤い蛍光を発している筋線維が観察され、筋線維の損傷が確認された。寒冷群、非寒冷群の顕微鏡各視野における損傷筋の割合の平均値は、それぞれ25.51%、18.77%と、寒冷群で有意に高かった(p<0.01)。
【考察】今回の実験では、寒冷刺激によって筋内温度が10度以上低下しており、寒冷群では腓腹筋周辺の血管が収縮し、血流が低下したことで比較的長時間高濃度のBPVCが残存し、損傷を拡大した可能性もあるが、傷害後速やかに開始される筋線維修復が寒冷刺激によって遅れ、BPVCによる一次損傷に続いて起こるCaイオンの流入が持続し、二次損傷が拡大した可能性が考えられた。前回の報告と合せて筋損傷に対する寒冷刺激の是非について、更に検討を進めていく予定である。
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© 2005 日本理学療法士協会
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