理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 113
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神経系理学療法
パーキンソン病患者の反復リーチ課題における協調性
*水野 公輔柴 喜崇佐藤 春彦尾崎 麻子斉藤 豊和小島 基永二見 俊郎
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抄録
【はじめに】協調性を有する運動とは、目的にふさわしく、無駄なく円滑に行われる運動のことであり、随意運動が円滑に行われる場合のことをいう。パーキンソン病(以下PD)では、大脳基底核の変性によって随意運動が障害されることから、協調性に何らかの障害があると考えられる。PDの協調性の評価として、速度や規則性の低下を定量的に評価した報告は多く散見されるが、運動の円滑さに着目し定量的評価を試みた報告は見られない。これまでに我々は、運動の円滑さに着目した平均情報量が、反復リーチ課題における協調性の定量的評価として有効な指標になり得ることを報告してきた。そこで今回、PD患者の反復リーチ課題における協調性の特徴をとらえることを目的に、平均情報量を用いて運動の円滑さに着目することとした。
【方法】被験者は、PD患者8名(男性4名,女性4名,平均年齢65.2±7.7歳)と、健常高齢者10名(男性5名,女性5名,平均年齢69.3±2.3歳)とした。測定時のHoehn&Yahrの重症度分類は、Stage2:1名、Stage2.5:1名、Stage3:4名、Stage4:2名であった。On-Off現象や痴呆などによって、明らかに課題が遂行できなかった例は除外した。なお、被験者の課題は、2.0Hzの音刺激に合わせて、鼻に触れ、目標物を指差す運動を交互に繰り返すものとした。あらかじめ3軸加速度計(TA-513G,日本光電)を被験者の手関節に貼り付け、サンプリング周波数200Hzにて30秒間測定した。解析はハニングの窓関数を用いた高速フーリエ解析を用い、上下軸、左右軸、及び前後軸の周波数解析結果について平均情報量を算出した。平均情報量とは、高い値を示すほど運動の円滑さが損なわれていることを表すものである。統計処理はMann-WhitnyのU検定及び、Spearmanの順位相関係数を用い、危険率は5%とした。
【結果】PD患者では、上下軸:8.87±0.52(bit)、左右軸:8.56±0.43(bit)、前後軸:8.02±0.37(bit)、健常高齢者では、上下軸:8.93±0.32(bit)、左右軸:8.38±0.26(bit)、前後軸:7.90±0.19(bit)であった。PD患者では、左右軸、前後軸において健常高齢者に比べて高い値を示したが、3軸それぞれにおいて両者間に有意差は認められなかった。一方、PD患者に関して、Hoehn&Yahrの重症度分類と平均情報量の関係を検討したところ、上下軸:r=0.664(P=0.073)、左右軸:r=0.856(P=0.007)、前後軸:r=0.587(P=0.126)となり、左右軸において有意な正の相関関係を認め、運動の円滑さが重症度に依存する傾向を示した。
【考察】左右軸に関して、重症度分類との関連が認められることから、反復リーチ課題において、PD患者では音刺激に応じて課題を遂行することは可能であるが、重症度に依存して左右方向の円滑さが損なわれる特徴があることが示唆された。なお、本研究の反復リーチ課題は、定速性の運動課題であったため、運動の円滑さにおいて、PD患者と健常高齢者との間に有意差が生じなかったものと考えられる。
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© 2005 日本理学療法士協会
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