抄録
【はじめに】
理学療法経過報告書は転院時に、施設間の情報共有のために行われる。患者の機能障害およびADL能力、問題点を早期に評価するためにも重要である。しかし、理学療法経過報告書は転院と同時に送付されているとは限らず、また、各施設、各個人によって様式が異なる。そこで、今回当院に転院された患者様の理学療法経過報告書について調査し、若干の知見を加え報告する。
【方法】
平成15年4月1日から平成16年3月31日の間、当院へ転院されかつ、前医療機関にて理学療法を実施していた脳血管疾患患者(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)305名、平均年齢66.0±13.1歳を対象とした。送付された理学療法経過報告書より、1.疾患名 2.現病歴 3.理学療法開始日 4.機能障害の評価 5.ADL評価 6.初期時と最終時の比較 7.経過 8.理学療法内容 9.統一様式の有無および内容について調査した。
【結果】
前医療機関から、理学療法経過報告書の送付は70例、26施設であった。理学療法経過報告書の送付率は23.0%であった。各項目の内容では1.疾患名の有:66例(94.3%)、無:4例(5.7%)2.現病歴の有:61例(87.1%)、無:9例(12.9%)3.理学療法開始日の有:59例(84.3%)、無:11例(15.7%)4.機能障害の評価ではBrunnstrom test:35例(50%)、Stroke Impairment Assessment Set:8例(11.4%)、Fugl-Meyer:1例(1.4%)、無:26例(37.1%)5.ADL評価では、オリジナル:25例(35.7%)、FIM:5例(7.1%)、無:40例(57.1%)6.初期時と最終時の比較では、比較有:20例(28.6%)、比較無:50例(71.4%)7.経過では、経過有:33例(47.1%)、経過無:37例(52.9%)8.理学療法内容では、内容有:56例(80.0%)、無:14例(20.0%)9.統一様式では、統一様式有:10施設(38.5%)、無:16施設(61.5%)であった。
【考察】
経過報告書は、施設間での情報の伝達、共有に重要であるが、今回の調査からは、経過報告書としての情報伝達が図られていない現状と、内容も各施設、各個人で不統一であることが明らかとなった。前医療機関での情報は、理学療法には必要不可欠ではあるが、経過報告書の記載方法に統一性がない事や、脳血管疾患は多様な障害像を呈するため、紙面や統一様式に記録するのは難しい事が、経過報告書の送付率低下になっているのではないかと考える。
経過報告書の目的は、送り先で必要になる情報が伝達できることであり、どのような情報が必要なのか検討することが重要であると考える。また、施設間での情報伝達の充実の為には、紹介先への経過報告書の充実のみでなく、紹介元へも経過報告書等にて情報を伝達する事も重要と考える。