理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 247
会議情報

神経系理学療法
運動課題遂行時における前頭前野の脳血流変化
*秦 和文花房 祐輔舌 正史間嶋 満
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【はじめに】
 人は日常生活や運動を行う際には、情報を認知し判断した後、目的とする行為を遂行する。近年運動情報の統合に関与する皮質領域として、運動前野や運動野、頭頂葉のみならず、前頭前野など様々な皮質領域が関与していることが分かっている。今回、非侵襲的な脳の酸素代謝や循環の測定が可能な近赤外分光法(以下、NIRS)を使用し、視覚的フィードバックを使用した等尺性収縮時の前頭前野の血流に及ぼす影響について検討したので報告する。
【対象と方法】
 対象は健常男性5例(年齢28.3±5.9歳)とした。
 三菱電機(株)社製Strength Ergo 240を使用し、股関節・膝関節90°屈曲位から等尺性収縮モードを使用し、左下肢のみの脚屈曲運動を施行した。最大随意性収縮(以下、MVC)におけるトルクを求め、十分な安静の後、70%MVCと30%MVCに相当するトルクを交互に10secずつ出力させる課題を連続3回施行させた(運動課題)。筋トルク出力はPC画面上で視覚的に確認しながら行った。
 局所脳血流の評価には浜松ホトニクス社製近赤外分光装置NIRO-200を用いた。測定用プローブは側頭筋を避けた両側前額部、さらに上矢状洞を避けるために正中線から側方へ十分離れた部位に設置した。
【結果と考察】
 一般的に神経活動時には局所脳血流は50%程度上昇するものの、酸素消費率は5%に程度の上昇に留まることが明らかになっている。脳血流が増加する際、NIRSでは酸化型ヘモグロビン(Hb)と総Hbは増加し、逆に還元型Hbは低下する。被験者間に多様なパターンは認められるが、5例中3例において運動課題時の酸化型Hbの増加と還元型Hbの低下、総Hbの増加が徐々に認められた。この結果より、本研究における視覚的フィードバックを使用した運動課題により、前頭前野の脳血流が増加し、酸素供給の増大が示唆された。
 被験者全員のHbの変動パターンにおいて著明な左右差は認められなかった。左下肢のみの運動課題において著明な左右の脳血流変化は無く、視覚的に提示された情報処理と随意運動には両側の前頭前野が働くと推測された。
【まとめ】
 今回、運動課題時の前頭前野の脳血流と酸素動態がNIRSを用いることによって、非侵襲的に評価できる可能性が示唆された。前頭前野の脳血流を賦活するための適切な運動療法が何かを評価するうえで、NIRSは有用であると思われ、今後の検討としたい。
著者関連情報
© 2005 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top