抄録
【はじめに】近年NICUからの早期介入としてポジショニングを導入する施設が増えている。ポジショニングが児の発達にどのような影響を与えているのか、新生児神経学的評価を用い短期効果について検討したので報告する。
【対象】当院NICUに入院した明らかな疾患のない低出生体重児を対象とした。2000年11月~2001年10月に出生した児を非ポジショニング群(以下非P群)29名[超低出生体重児(以下ELBW)7名・極低出生体重児(以下VLBW)9名・低出生体重児(以下LBW)13名]、 2003年2月~2004年1月に出生した児をポジショニング群(以下P群)30名(ELBW4名・VLBW6名・LBW20名)とした。VLBWを1,000g以上1,500g未満、LBWを1,500g以上2,500g未満とした。両群間の平均出生体重・平均在胎週数において、LBWでは平均出生体重が非P群1957.9±270.0g・P群1765.4±169.6gと有意にP群の方が小さかったが、その他で有意差は認められなかった。
【方法】評価はDubowitzに基づく新生児神経学的評価を用い、受胎週齢37~42週に行った。検討項目は「評価時の修正日齢」および筋緊張の評価を「姿勢」・「上肢牽引」・「下肢牽引」・「膝窩角」・「頭部コントロール(伸筋・屈筋)」の5項目、また行動指標の評価を「刺激に対する感受性」・「あやす」の2項目とした。統計学的分析にはt検定およびMann‐WhitneyのU検定を用い、危険率5%未満を有意水準とした。
【結果】ELBWでは「修正日齢」において非P群2.7±8.2日・P群-10±4.2日、「刺激に対する感受性」では非P群3.6±0.8・P群2.5±0.6と有意差が認められた。他項目での有意差は認められなかった。VLBWでは「下肢牽引」において非P群3.3±0.5・P群2.5±0.8と有意差が認められた。他項目において有意差は認められなかった。LBWでは「姿勢」において非P群3.0±0.4・P群3.7±0.5と有意差が認められた。他項目での有意差は認められなかった。
【考察】神経学的評価は1~5の5段階で、筋緊張の項目では4が成熟した反応の目安となっている。今回の結果、「下肢牽引」においてはVLBWで非P群が、「姿勢」においてはLBWでP群が有意に成熟した反応に近い値を示した。行動指標の項目では値が大きいほど過敏傾向で適応性が低いことを示し、「刺激に対する感受性」ではELBWにおいて非P群が有意に過敏な傾向を示した。今回の研究から、ポジショニングが過敏性の軽減や正中位指向の姿勢に有効な傾向がみられており、四肢の正中位方向への運動や体幹の安定性などの良好な発達を促し、また児の環境への適応を促していることが示唆された。