抄録
【目的】脳性麻痺児の評価において、体幹機能障害測定を加えたものはほとんどない。よって、脳性麻痺児の体幹回旋角度を測定し、体幹回旋角度と寝返り動作、体に働く体の立ち直り反応に関連性があるかどうかを検討した。
【対象と方法】対象は、説明理解が十分である脳性麻痺児(両麻痺)8名(独歩群4名、未独歩群4名)で平均年齢9.6±2.4歳と健常児16名、平均年齢8.2±1.4歳。背臥位にて体幹上部と体幹下部の体幹回旋角度を測定した。体幹上部の回旋角度は、基本軸を両前上腸骨棘(床面(水平面))、移動軸を両側の肩峰を結んだ線として、下肢伸展位の背臥位から骨盤を浮かせない最終体幹回旋位で測定した。また体幹下部の回旋角度は、基本軸を両側の肩峰を結んだ線(床面(水平面))、移動軸を両前上腸骨棘として、膝関節屈曲70度で、両下肢を正中位にして膝をたてた状態から、両膝をつけ、両下肢はそろえたまま、肩甲帯が床から離れない最終体幹回旋位で測定した。体に働く体の立ち直り反応は、座位から側方へ倒すことにより骨盤を回旋し下側の下肢を引き抜いて対称的な腹臥位になるまでの反応(以下BOB)を用いた。体幹上部と体幹下部の体幹回旋角度を健常児と比較し、寝返り動作時間、BOBとの関連性を脳性麻痺児の独歩群と未独歩群に分けてそれぞれ検討した。
【結果】脳性麻痺児と健常児間に有意な差を認めたものとしては、体幹上下部の麻痺側の自動的回旋角度と麻痺側、非麻痺側の寝返り動作時間であった。健常児では体幹上下部の回旋角度と寝返り動作時間、BOBに相関はなかったが、脳性麻痺児では独歩群、未独歩群ともに体幹上下部の非麻痺側自動的回旋角度と寝返り動作時間に高い相関があった。また未独歩群では、体幹上下部の麻痺側自動的回旋角度と寝返り動作時間にも高い相関があった。体幹下部の麻痺側自動的回旋角度では、独歩群、未独歩群ともにBOBと高い相関があったが、体幹上下部の非麻痺側自動的回旋角度とBOBには相関が認められなかった。
【考察】脳性麻痺児では健常児と比べて、体幹上下部の麻痺側自動的回旋角度と麻痺側、非麻痺側の寝返り動作に有意な差があった。このことより、体幹の自動回旋角度はBOBといった立ち直り反応より、寝返りのような粗大な動作へ影響している可能性が示唆される。脳性麻痺児の体幹上下部の麻痺側自動的回旋角度に健常児と有意な差が認められたことより、経時的な評価に体幹の自動的回旋角度の測定を加えることは臨床において重要であると考える。
【まとめ】脳性麻痺児の体幹回旋角度を測定、検討した結果、体幹の自動回旋角度はBOBより寝返り動作と関連していることが示唆された。