理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 288
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神経系理学療法
脳卒中急性期患者におけるFIM項目の分析
*櫻井 宏明才藤 栄一渡辺 章由山田 真美深谷 直美水野 元実岡西 哲夫金田 嘉清
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キーワード: FIM, 帰結予測, 脳卒中
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抄録
【目的】
 脳卒中急性期患者の初期評価時には、退院時点(終了時点)の帰結予測が難しいことがある。そこで、今回我々は、本学大学病院おいて、退院時のADLを予測することと、FIMの中で難易度の高い項目を導き出す一環として分析を行った。
【対象】
 対象は、2001年4月1日から2003年3月31日の間に、リハビリテーション科初診の脳卒中患者の中から発症後180日以内の初発例381名とした。平均年齢64.7±13.0歳、発症からの期間11.6±17.2日、リハビリ実施期間42.6±43.7日であった。疾患の内訳は、脳梗塞216名、脳出血125名、くも膜下出血40名であった。
【方法】
 リハビリの開始時点と退院時点に、機能評価・能力評価を行う中でFIMを用いてADL評価を行った。FIMの分析には、リハビリ開始時のFIM得点を10点毎の群に分けて行った。
【結果】
 リハビリ開始時のFIMと退院時のFIMの間には有意な相関関係がみられた(r=0.824 p<0.001、寄与率67.9%)。また、リハビリ開始時のFIM得点(18項目)より、退院時のFIM得点(18項目)のほうが、有意に高い得点となった(p<0.001)。次に、リハビリ開始時のFIM得点を10点毎の群に分けたところ、階段、浴槽移乗、歩行、清拭、更衣、トイレ動作、移乗動作、ベッド移乗、整容、排泄コントロール、食事の順に点数が下がる傾向がみられた。その中で、リハビリ開始時FIM得点が90点以上の患者においては、難易度が高いと報告されている、階段、浴槽移乗、歩行、清拭、更衣において5点までの改善がみられた。一方、FIM得点が50点以下になると、排尿コントロールが急激に下がる傾向がみられた。
【考察】
 リハビリ開始時にFIMを用いてADLを評価することにより、退院時のFIMを67.9%説明することができ、精度の高さが窺えた。次に、FIM得点の10点毎のデータおいて、FIM得点が90点以上の群では、FIMが5点までの改善に留まっていた。この結果から、急性期病院の退院時はADLの回復途中であり、回復期リハビリ病院でのリハビリの重要性が窺えた。一方、FIM得点が50点以下の群においては、排尿コントロールの急激な低下みられた。これは、リハビリ開始時のFIM認知項目の低下(監視以下)と発症後急性期(安静時期)のためバルーンカテーテルを挿入していることが原因かと思われる。
【まとめ】
1) リハビリ開始時のFIMと退院時のFIMの間には有意な相関関係がみられた(r=0.824 p<0.001 寄与率67.9%)。
2) リハビリ開始時にFIM得点が90点以上の患者は、退院時、難易度が高い項目である、階段や浴槽移乗においても平均得点が5点まで回復した。
3) リハビリ開始時にFIM得点が50点以下の患者は、排尿コントロールが急激に低下していた。
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© 2005 日本理学療法士協会
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