理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 306
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神経系理学療法
脳血管損傷患者の自画像とADLの関係
*播井 宏充阿部 郁代伊藤 恭兵矢野 歩山口 紫穂森下 一幸長尾 亮介平尾 文
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抄録
【目的】Quintanaは,身体図式障害があると身体や身体各部位の相互関係を認識できず,移乗・移動の安全確認で問題がみられると述べているが,実際のADLと比較した報告は少ない.そこで脳血管損傷患者の身体図式障害の有無を自画像の描写で評価し,車椅子移乗,歩行,更衣(上・下衣),排泄動作と自画像による身体図式障害との関係を比較検討した.
【対象】当院にて理学療法を施行した左片麻痺患者21名(脳梗塞15名,脳出血6名),平均年齢65.7歳,発症からの期間中央値33日,Barthel index(以下BI)の平均60.4点.右片麻痺患者19名(脳梗塞11名,脳出血8名),平均年齢67.2歳,発症からの期間中央値42日,BIの平均71.8点.対象には重度の痴呆,自画像描写の課題が不可能な高次脳機能障害,下肢に整形疾患の既往を有するものは除いた.
【方法】左・右片麻痺患者の自画像をZoltanの評価と同様に自画像の頭部,体幹,左右の上肢・手部・下肢・足部の各部位を1点とし(合計10点),身体各部位の有無を点数化した.この自画像の点数とfunctional independence measure (以下FIM)の車椅子移乗・歩行・上衣・下衣・排泄項目,BI,Brunnstrom recovery stageの関係をSpearmanの順位相関係数を用い検定した.また,各ADLを非自立群(FIM1から5点)と自立群(FIM6,7点)に分け,各全身合計点との差をMann-WhitneyのU検定を用い比較した.
【結果】自画像の全身合計点と各評価項目との関係は,左片麻痺患者群では,各FIM項目すべてに有意な相関を認めた.その項目の中で排泄,車椅子移乗,BIは特に強い相関関係が認められた(p<0.01).右片麻痺患者群では,車椅子移乗とBIの2項目のみで相関関係を認めた(p<0.05).また,全身合計点とFIM項目との間で相関関係にある左片麻痺患者で, FIM得点により自立・非自立群にわけ比較すると,上衣・下衣・車椅子移乗(p<0.01),排泄(p<0.05)項目において自立群の全身合計点の方が非自立群よりも有意に高い結果となった.自画像の描写の特徴として,頭部体幹は比較的描かれていたが,手部や足部の四肢遠位部から順に欠損する傾向が認められた.
【考察】左片麻痺患者では,身体図式障害による自画像の身体部位の欠損があると,ADL動作での自立度に影響を与えることとなる.そして,身体図式障害は,歩行などの単純な交互活動よりも,四肢遠位の手部や足部の身体図式の認識ができ,車椅子や衣類などの物品を含めた環境と身体部位の相互関係を必要とする,車椅子移乗・排泄動作などのADLに強く反映されることが示唆された.
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© 2005 日本理学療法士協会
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