理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 661
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神経系理学療法
片麻痺者へのStar-Excursion Test変法の有効性について
*岩本 凡子木下 めぐみ岡本 浩幸松前 良和梶川 博浦辺 幸夫
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抄録
【目的】脳血管疾患による片麻痺者の転倒要因のひとつにバランス能力の低下があげられる。バランス能力の評価には片脚立位時間やFunctinal Reach Testなどが使用されているが、動的バランスの評価方法は少ない。そこで今回、膝関節損傷のバランス能力の評価に使用されているStar-Excursion Test(Kinzeyら、1998、以下SET)の原法を修正し、片麻痺者のバランス能力の評価にSET変法が適しているか検討した。
【方法】対象は当院に入院または外来通院している片麻痺者23名(男性17名、女性6名、年齢65.24±6.78歳)とした。内訳は左片麻痺13名、右片麻痺10名で、診断名は脳出血9名、脳梗塞14名であり、下肢Brunnstrom-stageは4が5名、5が7名、6が11名であった。対象に高度な痴呆や著しい高次脳機能障害、骨関節疾患を有する者は含めなかった。Kinzeyらの原法を修正しSET変法を実施した。自作の測定装置の中点に測定足をおき、バランスを崩さず立位に戻ることができる8方向の最大リーチ距離を測定した。30秒間立ち上がりテスト(以下CS-30)、開眼片脚立位時間、10m歩行時間をそれぞれ測定し、SET変法と相関を検定した。危険率5%未満を有意とした。
【結果】有意な相関を示した項目のみ以下に示した。SET変法とCS-30では非麻痺側支持での後方と麻痺側斜め後方へのリーチ(r=0.43,0.46)、麻痺側支持での非麻痺側斜め前方、側方、斜め後方へのリーチ(r=0.45,0.49,0.44)で相関がみられた。麻痺側片脚立位時間では麻痺側支持での麻痺側斜め後方へのリーチ以外の全方向へのリーチ(r=0.43~0.79)で相関がみられた。非麻痺側片脚立位時間では麻痺側支持での非麻痺側斜め前方、側方、斜め後方へのリーチ(r=0.43)で相関がみられた。10m歩行時間では非麻痺側支持での前方、麻痺側斜め前方、非麻痺側斜め後方、斜め前方へのリーチ(r=-0.5,-0.43,-0.52,-0.43)で、麻痺側支持での前方、麻痺側斜め後方、側方、斜め前方へのリーチ(r=-0.46,-0.43,-0.46,-0.52)で相関がみられた。
【考察】SET変法とCS-30の関係についてみると、片麻痺者が立ち上がり時に非麻痺側へ大きく重心を移すことと関連すると考えた。片脚立位時間との関係は、麻痺側の支持性が高い者ほど、非麻痺側を多方向へリーチできると考えた。10m歩行時間との関係は、応用的な歩行ができる者ほど安定した歩行が可能と考えた。今回の結果から、SET変法は片麻痺者の動作能力の評価に有効であり、特に動的バランスの評価に応用できる可能性が示唆された。
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© 2005 日本理学療法士協会
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